コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第2回

2月の日記(後半)

2023年5月31日掲載

2/16

ナナロク社の村井さんと『野球短歌』打ち合わせ。

村井さんとは、なるべく直接会って話すようにしていて、それでだんだん、ふたりで熟成させていくような感じ。

でも途中で違う道に入ってしまったりもする。

編集さんとの関係性は、ほんとうにいろいろあるけれど、村井さんは(同い年のせいもあるのか)、心が近所にあるような気がする。

2/17

谷川俊太郎さんの PLAY!MUSEUM の展示でも取り上げられるとあって、久しぶりの復刊となった『えをかく』新装版の色校。講談社にて。

長新太さんのあざやかな色がきれいにでますように。

夜は前にお世話になった絵本の3回目くらいの打ち上げのようなごはん。

あたたかくて、たのしくて、本が刊行されても関係性が続いていることに驚く。

みなさんが最上級に想像力を使って人と接する姿を見習いたい…。

2/18

ふさふさの猫がいるお宅へ訪問。

手作りの料理に舌鼓を打ち、ワインを飲み、猫をなで、携帯電話に美味しい店をどんどん登録しあった。

2/19

BRUTUS の洋食特集にでていたお店へ行ってみる。

赤と白の大きめのチェックのテーブルクロスはなんであんなに美味しそうにみえるのだろう。

日曜の夜は必死で働く。

2/20

神奈川近代文学館に頼まれていた武井武雄にまつわるエッセイをなんとか書く。

刊本の良さを文字で伝えるのはとてもむずかしい。

夕方、ブロンズ新社へゆき、出久根育さんと打ち合わせ。

何年も前に作品集を担当させていただいたのに、初対面。

その頃、いただいたワインのお礼をやっと言う。

お手紙でお礼を…の気持ちを何年も持ち続けていたが、思っていただけでは伝わらないただの失礼なやつなのだ…。

打ち合わせのあとに、若月社長と編集の佐川さんも交えて中華料理へ。

美味しい料理をいただきながら、ボローニャの話などたくさん聞かせていただく。

2/21

ヒグチユウコ展のカフェの内装を担当していたのに、まだ何も食べたことがなく、今井昌代さんにつきあってもらってカフェへ。

ひとつめちゃんのタコライス、スリーガールズのいちごミルクなど。

ビールも美味しいというので、飲んでしまう。

自分のつくったおまけのカードをもらったりする。

同じくつくったはずの紙袋は払底とのこと。残念だけど嬉しい!

2/22

福音館書店へゆき、阿部結さん絵本の色校。

阿部さんは、パレットクラブというイラストレーションの学校の生徒さんだったのに、いまやもうすっかり絵本作家さんで、すごいものだなあと思う。

先生というのは、何かを目撃するうれしさで、つい続けてしまうものなのかも。

2/23

友人である、画家の法貴信也さんとすすめている本があって、京都在住の小説家の福永信さん、青幻舎の福岡さんと、法貴さんのアトリエで話すためだけに日帰りで京都。

zoom でという流れもあったのだったが、わたしが zoom が苦手なのと、なんというか、あてのない話みたいなのが大事だと感じて、新幹線を選んだ。

久しぶりのアトリエは、整理整頓がバージョンアップしていて、どの工夫も法貴さんそのものを感じる。

おやつを食べながら、何度も淹れてもらった紅茶を飲んで、結果とてもよい時間で、仕事のようであるけれど、お休みのようでもあって、気分良く帰る。

日帰りだということを取り返すかのように、京都駅でお菓子など買ってしまう。

2/24

アリ・スミス『五月 その他の短編』入稿。

ヒグチユウコさんに装画を描いてもらって、お刺身のように本を作る。

読者としても待っていた本なので、とてもうれしい。

夕方、図書印刷のKさんとボリス雑貨店で打ち合わせ。

2024年の気配。

2/25

友人のチュンコ先生(グラフィック社津田さん)の家でこんにゃく作り。

回数を重ね、実験を続けているが、今回は我が家から持参したミキサーを導入。

芋がとてもなめらかになる。

ほたてカルシウムも前々回のものに変更し、大成功をおさめる。

過去最高にいい感じではないだろうか。

できたてのこんにゃくをあらゆる手立てでいただき、チュンコ先生のすばらしい料理に舌鼓を打って、こんにゃくを、とあるお家にかさこじぞうし、帰宅。

帰ってもまだほのあたたかいこんにゃくの愛おしさ。

お土産にもらった「チュンコのおこわ」も明日を彩るだろう。

2/26

穂村弘さんの『短歌ください』にまつわるオンラインイベントを視聴したりしつつ、ずっと家にいためずらしい一日。

2/27

はしもとみおさんの本のミーティングを zoom で。

その後、里山社清田さんと会って『94歳セツの新聞ちぎり絵』色校。

夕方はボリス雑貨店Sさんと打ち合わせ。

2/28

ヒグチユウコ展のポスター(B1サイズが4種類あって、全面箔押し)の20連貼りが渋谷駅の東急線ホームではじまったので、見に行く。

昔、広告代理店につとめていたころ、今とは違う東急線構内で、巨大ポスターが貼られた時も見にきたなあと思い出す。

せっかく渋谷駅に来たので、Foodshow でめかぶを購入。

旬のめかぶの美味しさを先日のチュンコ先生に教わったのだった。

安くて、美味しくて、なんてすばらしいめかぶ。

来年も忘れないよう、google カレンダーに入れなければ。

うちの近所にも魚力があればいいのに。

夜は水鈴社の篠原さんと、お友達に引き合わせていただく。

元気で、仕事をばりばりしている人の話はとても楽しい。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。