コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第27回

3月の日記(前半)

2024年6月15日掲載

3/1

『宇野亜喜良クロニクル 新装版』の本文ラフを提出。

夕方から、とうとう竹尾見本帖での水戸部功さんとの展示「BOOKS」内覧会。

内覧会には、展示されている本の編集さんと、少しだけ友人を招待。

内覧会というものには、数えきれないほど行っている気がするけれど、呼んだ側なのは初めてで、ふしぎな気持ち。

献花をいただいた、小学館ドラえもんルームさま、講談社さま、東洋館出版社さま、グラフィック社さま、水鈴社さま、ありがとうございました。

(写真に写っていた順)

3/2

マンションのインターホンの修理の立会係になってしまい、ただただ、立ち会う。「お鍋見てて!」「見てたよ」的な、ただいただけのわたし。

お昼頃、吉祥寺美術館へ。

出久根育さんの展示。明日までなのですべりこみ!

ちょうどチェコからいらしていた出久根さんにお会いできてうれしかった。

夜はNHKエデュケーショナル・倉森さんとご飯。

倉森さんが連れて行ってくれるお店はいつも美味しくて、お話もとても楽しい。全部録音しておきたいくらい。

3/3

日曜日だが、夜にナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

3/4

ヒグチユウコさん『BABEL 新装版』の変更部分入稿。

コンドウアキさんの巡回している展示の静岡会場チラシのラフ。

竹尾見本帖展示初日。水戸部さんと少し在廊。太田徹也先生に久しぶりにお会いする。

本しかないのに、月曜なのに、何人も来てくださって、感無量。

夜、帝国ホテルにて読売文学賞受賞式。

今年の読売文学賞は川上未映子さん『黄色い家』!

担当作なので呼んでいただいた。

随筆・紀行賞の西加奈子さんにも久しぶりにお会いでき、古い友人たちや、ご無沙汰していたたくさんの方々にも会えて、こういうの久しぶり!と思う。

みえこさんの二次会に参加させていただき、担当編集さんたちが一堂に集う中、みえこさんと穂村さんに挟まれて、しあわせだった。

「黄色い家」新聞連載時の挿絵を描かれていた榎本マリコさんもうれしそうだった!

3/5

左右社にて打ち合わせ。

夕方からブロンズ新社・佐川さんのところで、布川愛子さん『なつのおそろいをつくりに』色校。

3/6

ヒグチユウコさんのMOE連載「日々の綿」入稿。

スペシャルな面々と台湾へ。

今回は団体ツアーなので、いつもと違う台湾を感じる。

ヒグチさんの台湾での展示を見るためのツアー。

何度見てもうれしくてたのしい。

3/7

国立故宮博物院や動物園を堪能。そしてあの(千と千尋の舞台と言われる)九份へ!

あいにくの雨だったけれど、記憶の中では日が暮れた風景の中に灯りが滲んでいて、むしろよかったかもしれない。

3/8

少しお買い物をして空港へ。

空港のベンチから入稿開始…。

夜羽田着。

3/9

必死で仕事。

3/10

言わずとしれた黒柳徹子さんの『続 窓ぎわのトットちゃん』を担当していたのですが、なんと、トットさんのサイン入り本が届く。編集さんたち…ありがとうございます。

黒柳さんの世界ふしぎ発見の回答の縦書きにあこがれて、わたしもなるべく縦書きをするようにしているのです…。

午前中、立川のPLAY! MUSEUMへ。

NHKエデュケーショナル・倉森さんと櫻井翔さんの展示「櫻井翔 未来への言葉展 PLAYFUL!」拝見。

言葉の展示ってどんなだろうと思っていたら工夫にあふれていて、ほほう、の嵐。

クリハラタカシさんファンとしては思わぬところで絵がたくさん見られてうれしい。

3/11

免許更新にかけこむ。今日が本当にデッドなのだった。

楽しみにしていた講義のドラマ的映像はなく、ほとんどが車載カメラの映像。

帰り道の風景がぜんぶその映像に見えてへんな気持ちになった。

辻からなにか飛び出てきそうな。

竹尾にて在廊していたら、来てくれた早川書房・溝口さんから『ここはすべての夜明けまえ』が早くも増刷のしらせ。まだ発売数日なのに!

亜紀書房・西山さんと打ち合わせ。

3/12

ヒグチユウコさん『ほんやのねこ』、何度目かわからないくらいの重版帯修正。

昼間、リサ・ラーソンさんの訃報。

お会いできなかったけれど、木寺紀雄さんの写真集『エステルレーン』で間接的にご一緒できてうれしかった。

リサさんからいただいた、リサさんが若い頃の作品集を見返す。

福音館書店・北森さんと電話会議。

夜、芸術選奨を受賞された柴崎友香さん、高瀬隼子さん合同のおめでとう会。

柴崎さんの受賞作は担当作『続きと始まり』。

先週に引き続いて会えてうれしい柴崎さん、やっと会えた高瀬さん(『おいしいごはんが食べられますように』を担当しています)。

長嶋有さん、羽田圭介さんもテーブルを囲んで、楽しい夜だった。

3/13

ヨシタケシンスケさん『ちょっぴりながもちするそうです』ラフ。

宇野亜喜良さんに今年もお花をお送りした。90歳おめでとうございます。

夕方、河出書房新社・竹下さんとイーユン・リー『ガチョウの本』打ち合わせ。

3/14

ピーターラビット最終3巻見本がとどく。23巻完成!! みえこラビットおつかれさま!!

朝、筑摩書房へ行って柚木沙弥郎さん風呂敷色校。

講談社にて色校。

水鈴社、下田昌克さんとイチゴのデザートを食べながら打ち合わせ。

扶桑社・田中さん&金原さんと松岡茉優さん『ほんまつ』打ち上げ。ピアットミツにて。

田中さんは美味しいもの好きなので楽しみにしていたけれど、期待通りの美味しさだった!

丁寧に丁寧に丁寧に仕事をすすめてくれたお二人なので、またいつかどこかでご一緒したい。

3/15

ジムへいき、夕方からほぼ日にて打ち合わせ。

最近の名久井さん

数時間後に福岡へ行きます。竹尾福岡見本帖での展示は6/28まで。

ぜひいらしてください。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。