コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第18回

10月の日記(後半)

2024年1月31日掲載

10/16

ずっと家。

とある本の梱包材用に、図書印刷さんにオリジナルの段ボールを発注。

外側のライナーの色や、フルートの色の組み合わせを選ぶのは楽しい。

フルートというのは、段ボールの切り口を見るとナミナミになっているときがあると思うのですが、それのことです。

山階基さん『夜を着こなせたなら』入稿。

枡野浩一さん、佐藤文香さん、phaさんの『おやすみ短歌』のやりとり。

前に担当した、大白小蟹さん『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』が『このマンガがすごい! 2024』オンナ編1位とのことで受賞帯作成の依頼がくる。うれしい仕事!

ヒグチユウコさんのMOE連載「日々の綿」修正入稿。

とある絵本のやりとり(まだ書けない)。

藤子先生のSF短編、9巻プレートと表紙のラフ。

10/17

ジムへ。

ヒグチユウコさんの展示が台湾で行われるので、現地用作品集の色校戻し。

(時空を超えて書きますが、1月末からスタートして、4/7まで台北の中正紀念堂にて開催中です!)

宮木あや子さん『令和ブルガリアヨーグルト』入稿。

ながしまひろみさん『ぞうくんはいちねんせい』色校戻し。

こみねゆらさん『かばん』色校戻し。

夕方、水鈴社・篠原さん打ち合わせ。

帰りに近所の雑貨屋さんで見たタイルに心を奪われ、(そこには在庫がなかったので)書籍を注文。HEATH CERAMICSさん。

いつかどこかにタイルで模様をつくるのが夢。玄関とか…?

10/18

北澤平祐さん、ホーム社・高梨さんと打ち合わせ。

ボリス雑貨店へ一瞬行く。

松岡茉優さん『ほんまつ』色校まわりのやりとり。

よこみぞゆりさん『なんでもいきもの お絵描きツアー』そとまわり色校戻し。

パレットクラブの生徒さんでもあった、イラストレーターのIQGMさんからすてきな悪いセットが届く。

『わるさ』という名前のZINE、次の展示のタイトルは「非行」…。

中脇初枝さん『伝言』が山田風太郎賞の候補になったので、受賞に備えて山田風太郎賞受賞帯のラフ。

(他、書けない仕事のやりとりが進んでいる)

10/19

代々木上原にあるミ・チョリパンへ。

前にロンドンに行ったときに食べたハンバーガーが「チミチュリバーガー」という名前で、とてもとても美味しく、もう一度食べたいと思っていたのだけれど、どうにか手に入れたチミチュリ(調味料)を使っても同じにはならず、Netflixの「ストリート・グルメを求めて」を観ていたら、チミチュリサンドというものがあるのだとわかり検索。

意外にも近くにあることがわかり、自転車を飛ばした。

バーガーとはもちろん違うけれど、「こ、この感じ…!」という美味しさ。

コスモテック・青木さんと『夜を着こなせたなら』箔のやりとりをモリモリ。

吉本由美さんと田尻久子さんの『熊本かわりばんこ』の資材やりとりをNHK出版・小湊さんと。とても丁寧な仕事運びに感動。

高山一実さん『がっぴちゃん』のやりとりをKADOKAWA・川戸さんと。川戸さんは高校の後輩…。

阿佐ヶ谷ロフトAにて、どちらも担当作の『うれしい近況』『荻窪メリーゴーランド』の刊行イベントへ。

穂村弘さん、木下龍也さん、鈴木文香さん、岡野大嗣さんのトーク。

なるべく隅の方へ…と思って奥の後ろの方に座ったら、山階基さんがすぐ前に座っていた。

イベントはワンドリンク制だったのだが、「後ろから水を頼む声が聞こえたので、そうか、水でもいいんだ、と思っていたところです」と声をかけられる。

著者たちがサインをがんばっている間、控室で、穂村さんと、左右社・筒井さんと、3人で、居間のような感じでくつろいでいた。打ち上げにまぜていただき、深夜に解散。

10/20

電車を立川で乗り換え、初めて矢川駅で降り、堀道広さん、マガジンハウス・関谷さんと打ち合わせ。

すてきな作業場にキュンとする。圧巻のコレクションなども見せていただき、至福。

書けない仕事のやりとりもばたばたと進んでいる。

コスモテック・青木さんと『夜を着こなせたなら』の箔のやりとりをまだまだモリモリ。

講談社・大庭さんより山田風太郎賞受賞無念のおしらせ。

ざんねんだけれど、『伝言』がいい作品なのには変わらないので、候補を機会に読んでくださった方も多いのではないかなと思う。

(いつも他の賞の時も思う)

10/21

神田スクエアにて竹尾ペーパーショーへ。

ものすごく混んでいて、「みんなそんなに紙が好きなのかい?」とうれしくなる。

俵万智さんから『アボカドの種』についてご丁寧なメールをいただき恐縮。

佐藤ゆき乃さん『ビボう六』の装画、西村ツチカさんからくるのを待っている。

10/22

ウェス・アンダーソン「アステロイド・シティ」を渋谷PARCOに観に行く。

一階で花を買って帰る。

10/23

カルティエの専属調香師さんの本『マチルド・ローランの調香術』(関口涼子訳)入稿。

夕方、図書印刷さんと打ち合わせ。

小学館へ寄って、SF短編色校。

夜、モギさんとeleven2ndさんへ、少し行く。

10/24

ジムへ。

夕方からIQGMさんと水鈴社・篠原さんと、雫井脩介さん『互換性の王子』打ち合わせ。

コアラで、骨肉の兄弟争いを描いてもらうことに。

『令和ブルガリアヨーグルト』の色校がものすごく悪く、暗い気持ちのまま戻す。色校が悪いのが一番心にくる…。

マームとジプシーの次回公演「equal」の仮チラシをつくる。

『レベッカの見上げた空』(マシュー・フォックス著/堀川 志野舞訳)の本文フォーマットを静山社・荻原さんへ。

穂村弘さん『短歌のガチャポン』増刷とのことで、帯修正。

『熊本かわりばんこ』の猫の絵が坂口恭平さんより届く。かわいい。

10/25

朝、コスモテックへ行って『夜を着こなせたなら』箔のテスト立ち会い。

齋藤陽道さん『よっちぼっち』色校戻し。これで手が離れた、かな。

ほぼ日・笠井さんよりスペシャルすてきなソフ看板写真が届く。

10/26

夕方ジムへ。

岡野大嗣さん『うれしい近況』のうれしいハンカチが発売開始。

10/27

午前中マームとジプシーの林さんとじっちゃんと打ち合わせ。

マイクロマガジン社へ行き、コンドウアキさん『ムムさんのまほうのケーキ』色校。

そのまま歩いて銀座の伊東屋さんへ。紙くじを入れるPP袋を購入。

夜はチュンコさんとご飯。

『熊本かわりばんこ』本文フォーマット提出。

(書けない仕事のやりとりはやっぱり進んでいる)

10/28

11月に立川のSUPER PAPER MARKETで行われる、紙くじイベントに向けて、津田淳子(チュンコ)さん、100%ORANGE・繭子さんと現地で紙くじを袋につめた。

水戸部功さんからの紙くじはもう袋詰めされて到着していて、しかもその包み方がかわいく、水戸部さんえらい!とみんなで褒める。

夜は3人でシェーキーズで食べ放題。

ふたりにとってはシェーキーズは青春の思い出の店のようだったけど、わたしは初めてなので、食べ放題なのかー!と驚く。

10/29

齋藤陽道さんの展示「絶対」へ。初めてお会いできた!

お会いできないかもしれないと、お手紙を持っていったので、お渡しする。

しばし筆談でおしゃべり。齋藤さんがとてもとても楽しい方なので、筆談であるか、口頭であるかなんて、関係ないのだなと強く思う。

小学校にあがる前の頃、実家では、一部屋を人に貸していて、ある時は耳の聞こえない実年女性が住まわれていた。

お風呂は母と私と共用だったので、お風呂ができたら呼びにいく仕事をまかされていた。

襖をあけて、「こんばんは。お風呂いいですよ」みたいな手話をする。

今思えば、急に襖をあけなければならないので、子どもにやらせていたのではないか。

そして今、ほぼなにも手話を覚えてないことにがっかり。

覚えていたら、もっといろんな角度で齋藤さんとお話ができたのに。

またいつかおしゃべりができたらいいな。

10/30

SF10巻プレートのラフ。

夕方、平凡社・林さんとフジモトマサル『ウール100% 完全版』色校。

フジモトさんの本をたくさん復刊してきたけれど、だんだんできるものがなくなってきて、すこしさみしい。

100%ORANGE・繭子さんおすすめの里芋を注文。

10/31

黒柳徹子さんの文章に、武井武雄さんの絵を合わせた絵本『木にとまりたかった木のはなし』新装版ラフ。

筑摩書房のPR誌「ちくま 12月号」入稿。ヒグチユウコさんの表紙ラスト! 三年の早さよ。

とある本の著者ふたりの撮影。撮影は佐内正史さん。お昼ご飯はアミカレー!

ヒロミチイトさんからキム・エランさん『唾がたまる』の装画データが届く。うつくしい!

『ビボう六』色校戻し。

IQGMさんと装画のやりとり。元生徒なこともあって、細かく直しをやりとりしてしまう。

IQGMさんはとても素敵に応えてくれたので、『互換性の王子』ぜひ見てみてください。

表4(本の後ろ側)はラーメン屋にいる男女(でもコアラ)なのですが、ラーメン屋さんにかかっているサイン色紙など、細かいところもご覧ください。