コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第14回

8月の日記(後半)

2023年11月30日掲載

8/16

ジムへ行き、藤子・F・不二雄SF短編集5巻の箱を修正。

『ザ・ブラック・キッズ』(クリスティーナ・ハモンズ・リード著/原島文世訳)の見本が届く。

この本は色校からもう気分がよかったので、見本も気分がとてもよい。

でもすべては晶文社・葛生さんの気配りのおかげ。

8/17

WATOWAさんにて、芸術新聞社さんと榎本マリコさん画集打ち合わせ。

主婦と生活社にて、るるてあさんと打ち合わせ。

ナナロク社・村井さんと、とある本の打ち合わせ。

その流れで、ドラルーム・今本さんと村井さんとごはん。

編集者というのはこういうものだよ! と皆に言いたくなるような二人。

前にこの日記に書いた「オペーク白を2回刷ってもらった」『野球短歌』の件、その後結局「2回で良かったですね!」となっていたのだが、それを日記に書いておらず、村井さんに書いておいてと言われたので書く。

思えば見本が届いたということを日記に書いていなくて、そのせいだなと思い、昨日から書くことにした。

8/18

ジムへ行き、家でとにかく仕事。

『去年の今日』(長島有里枝著)の見本が届く。

見返しにも青木陵子さんの絵がはいって、いい雰囲気に。

ぜひカバーもめくってほしい。

りょんさんと長島さんの関係性が、すごく響いてよかったと思う。

わたしが仕事上、嫌だな、っていうか最悪だなと思うことが大きく2つあり、この際だから書きますが、ラフや色校をネット上に「無断で」晒されること、まだチェックしていない見本がネット上にもうでているのを発見すること。

そのうちの一つを見つけてしまい、悲しみの淵で白目で体育座り。

校正前の原稿を発表される小説家、

発酵前のチーズを味見される酪農家、

アイロンをかけてない服を持っていかれるクリーニング屋、

などなど、いろんなものに置き換えて、その悲しみを伝えたい。

無断じゃなければ、意外と大丈夫だったりするのと、本によってはデータがそのまま書影にされてもいい場合も。

まずはご相談を!

8/19

午前中、疲れることがあり、ぐったりしたのにもかかわらず、家事をもりもりとやる。

夜、ボリス雑貨店へそっと行き、またオリーブを切ってきてペットボトル挿木に挑戦。

(ヒグチさんの許可は取っております)

8/20

日生劇場にて、ヒグチユウコさんの絵本が原作の『せかいいちのねこ』人形劇をみる。

すばらしくて、最初から最後まで何度も泣き、笑う。

絵本そのままというわけではないけれど、最大限にヒグチさんの世界を大事にして、その上で、限られた時間の中で、面白く、深く、そして歌にしている。

ヒグチさんと今井昌代さんとご飯を食べ、お茶をして帰宅。

隅々まで楽しい一日だった。

8/21

ピーターラビット修正、SF短編6巻のラフ出し。

仕事がやばすぎて、朝顔が咲くより早く起きる。

午後、竹尾にて水戸部さんと打ち合わせ。

帰りに伊勢丹により、地下をみて帰る。

『ヒロインはいつも泣いている』(関亜弓著)見本が届く。

8/22

ジムに行き、午後は平凡社にて、ちょっと先の本の打ち合わせ、小学館へ寄り、いろいろ確認。

チュンコ先生と神保町にてご飯。

明日はお休みにするので、宿題を片付ける。

8/23

待ちに待った!ワーナー・ブラザーススタジオツアー東京ーメイキング・オブ・ハリー・ポッターへ。

楽しすぎて、うれしすぎて、絶対また行くとしか書けない。

迷って、ハッフルパフのマフラー(いつするんだ?)とハリーのHが入ったセーター(ウィーズリーおばさんからもらったセーター)を購入。

杖も欲しくなったけれど、誰のがいいか決められないのでまたいつか。

(迷っていたのは、ニュート、ルーナ、マクゴナガル先生、クイニーあたり)

8/24

とある地域からふるさと納税が届く。

8/11に届いたものとは、違う地域からだけど、野菜の詰め合わせのはず…

だったのに! また今度は98%が小なす!!!

2%は小ナスを漬けるための液体(みょうばんなどミックスしてある)。

できれば3日以内に食べろと買いてあるが、好きなものだとしても大量の小なすの浅漬けを消費するのは無理がある。

マンション内の仲良しの方のドアにかけ、チュンコ先生にも少しおしつけた。

サイトの写真はいろんな知らない地場野菜が写っていたのに…(デジャヴ感)。

マンションの仲良しの方は、年上の女性で、何年も聞きそびれていた年齢を昨年やっと聞いてみたら、「今年米寿! 蠍座よ!」と返ってきて、なんともチャーミングだった。

左右社にてSPBS打ち合わせ。もう短歌講座終盤!

麻布十番で夜ご飯。

8/25

ジムへ。

『ぞうくんはいちねんせい』(ながしまひろみ著)の表紙ラフ。

榎本マリコさん画集のフォーマット作成。

夕方、モギさんとeleven2nd・ハシモトさんちへ。

まだ夏だけど、ふわっふわの巻物などを予約。

8/26

豊洲にてSPBS。

受講生さんたちの歌集がいよいよできる気配。

8/27

ずっと家。

SF短編のことを少しやり、『私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない』(田中有芽子著)の本文作業。

田中さんの歌集は…そして田中さんは…本当におもしろい。

夜、穂村さん夫妻が猫と共にやってくる。

8/28

毎日新聞出版へ。穂村弘さんと対談。

『よくわからないけど、あきらかにすごい人』という穂村さんの文庫の、解説がわりの対談を引き受けたのだった。

この本は穂村さんが憧れの人と会いまくった対談集なのだが、わたしが仕事でご一緒した方も多く、またそもそもは穂村さんがわたしの憧れの人でもあるので、そんな対談になった。

ちなみに本書の装丁は単行本時(タイトルは『あの人に会いに』)と同じく横尾忠則さん。

8/29

最近、岡野大嗣さんと歌集のやりとりをしていて、おつかれさま、とスターバックスのチケットをLINEで送ってくれて、沁みた。

いつもの歯医者さんへ。

夕方からマガジンハウスへ。制作のHさんと打ち合わせ。

夜、水鈴社・篠原さんとご飯。

川上未映子さんの誕生日だったのでLINEを送る。

ついでにおしゃべりをして、励まし合う。

8/30

福音館書店・岡田さんのところへ行き、『探検家学園3』(斉藤倫著)色校。

お会いしたいんですよ、と言われていて、なんだろうなんだろうと思いつつ、色校をしていたら、さっとかわいいミニカーをくださった!

なんとわたしの車とおんなじミニカー! 

ドイツのメーカーらしい。

めずらしいカラーなので、とても嬉しく、さっそく下に停めさせてもらっていた車の横で撮影会をする。

小学館へ寄ってSF短編もろもろ確認。

夕方、ライツ社の方と打ち合わせ。

『伊勢物語』文庫ラフ。なんと訳は川上弘美さん!

8/31

この日記を置いてくれている奇特な「だいわlog」では、村井理子さんの日記を特に楽しみに読んでいて、

今日は同日更新だった。

8/20の日記に「自分の顔が、年々、母親に似てきていることが地味に私にダメージを与え続けている。」

とお書きになっていて、ドキンとする。

わたしは時折、自分が書く走り書きの「子」の字が母の字に似ていて嫌なのだった。

それは高校生くらいから気づいていて、意識的に違う書き方をしてきたのだけれど、たまに、急いで書いたとき、とても似ている。

母から字をならったこともなく、文通したこともなく、なのに伝染してしまうのはなぜなんだろう。

そういえば小さい頃、母に「お前とは、捨てられていた池が同じだから親子なのだ」と何度も言われていて、母の時は木の林檎箱に入れられて池に浮いており、お前のときは、発泡スチロールの箱だった。

とリアルに言われていたので、ずっと信じており、後々、本当に血がつながっていると知ったとき、とてもショックを受けた。

ちなみに、池といっても、近所の高松の池は一周歩くと40分くらいある大きな池で、冬は凍ったのでスケートをしたものだった。(いまは暖冬で無理かと)

KADOKAWA・中村さんと、こやまこいこさんと打ち合わせ。

世田谷文学館で石黒亜矢子さんの展示を観にゆき、堪能。

世田谷文学館は仕事でもそうじゃなくても、何度も行っているけれど、毎回心がこもった感じでとても好き。