コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第6回

4月の日記(後半)

2023年7月31日掲載

4/16

チュンコ先生に買ってきてもらった伊江島の島らっきょう(伊江島のが最高)を漬け、オランダで食べたharingに挑戦。

島らっきょうを漬けるのは、もはや年中行事のひとつだけれど、ニシンを漬けるのは初めて。ひさしぶりに魚を捌く。

4/17

小林エリカさん、筑摩書房・山本さんと打ち合わせ。

前にも打ち合わせしていたのだが、日が空くとみんなうっすら忘れていて、復習から始まる。

SUPER BEAVERがZEPP歌舞伎町で柿落としをするというので、渋谷龍太さんの本を担当したご縁で連れていっていただく。

せまい空間で聞くのはすごく楽しい。

KADOKAWA・北川さんが、横でぴょんぴょんしていた。

椅子のない、オールスタンディングな場所なので、わたしも立っている。皆のぴょんぴょんで、地面が揺れ、わたしもすこし上下する。でもここで、釣られてぴょんぴょんしたら、きっとわたしの膝は大変なことになる、と自重。

渋谷さんやみなさんとご挨拶して帰宅。

渋谷さんは、歌っていない時、なんだかかわいらしい。

ちなみに担当した渋谷さんの本は『都会のラクダ』『吹けば飛ぶよな男だが』。

かわいいのでよかったらぜひ。

4/18

水鈴社・篠原さんとご飯。

美味しいものがすきな人とご飯はいいものだ。

4/19

マンションの排水管点検があり、仕方なく家にいるが、思いのほか大変なことになりそうで、ハラハラとする。

今年、工事になったらイヤだな…。

夜、チュンコ先生とご飯。

4/20

仕事をしていたのだが、これといって何もない一日。

4/21

早川書房・窪木さんがピーターラビットの色校を持ってきてくれる。

夕方小学館へ。SF短編のケース裏の色校など。

ヒグチユウコさんの『ちいさな画集』見本届く。かわいいので写真に撮る。

ほんとうに小さい。できてすごくうれしい。ほんとうにかわいい。

4/22

オザキフラワーパークへ。連休前になんとかミニトマトを植えたいと思い、出かける。

チュンコ先生に言われた「買うなら100円高くても接ぎ木の苗に」という言葉通りに購入。

紫蘇なども購入。うっかりユーカリも購入。結構な大荷物になる。

4/23

筍掘りへゆく。チュンコ先生ゆかりの小田原の山。

昨日の苗のことを話したら、早朝に彼女もオザキにいたとのこと。

筍が今年は不作だけれど、いくつか掘れただけでも、とても楽しい。

自慢だが、わたしはマイ鍬を持っている。

堀り終わった後は皆でラーメンを食べ、鈴廣、早瀬のひもの、のあとにファーマーズマーケットをはしご。

車の中で、メンバー全員が観ている「ブリティッシュベイクオフ」のメアリーとポールのものまねをしあう。

「生地が生焼けじゃないか…!」「でもわたしはこの味は好きよ」など。通じるのがすごい。

100%ORANGEの繭子さんが「ブリが飽きるほど食べたい!」と言ったので、ゴールデンウィークに集まって、みんなで「角上パーティ」しよう!ということになる。

「角上」のことをチュンコ先生と繭子さんから習う。

「角上魚類」という、チェーン店で、ふたりは小平店に通っているそうだ。

「魚のランドだよ」という言葉に胸が躍る。

帰り道、筍をY家にかさこじぞうして帰る。

4/24

長島有里枝さんの本『去年の今日』の打ち合わせ。

zoomにて、講談社・堀沢さん、画家の青木陵子さんと。

青木さんとは何度もお仕事をさせていただいているけれど、いつも、おまかせすればそれでよし、という気持ちになるので、打ち合わせでちゃんと伝えるのはむずかしい。

絵がとても楽しみ……。

小学校の時に遊んでいただいたお嬢さんが、もう一人暮らしと聞いて慄く。

夕方から、チュンコ先生と、原宿駅近くで開催されているFENDIの展示へ。

なぜ急にFENDIかというと、越前のお館さまが、お土産のカードをお作りになったとのことで、それはもらいに行かねば!と意気込んで予約したのだった。

入り口から、なんか気配が澱んでいたけれど、全体的にちょっと残念で、展示って難しいなあと思う。

出口もよくわからず、なんとなくドアを開けて裏口みたいなところへ出る。

お土産のカードは、なんと、表参道にある店舗に行かないと貰えないとのこと!

なんだそれは!と怒りたくなったけれど、すごすごと歩いてお店へ。

無事カードをいただき、カードはすばらしい出来で、徒労感ありつつも、すこし回復。

4/25

朝から夕方まである俳優さんの撮影(まだ言えない)。

置いてあった「おかしやうっちー」のクッキーがとてもおいしい。

6種類入っていて、小麦粉違いで3つ、トンカ、玄米米粉、どんぐり。

どんぐり味がとくにすきだった(全種類食べた)。

4/26

KADOKAWA・岩橋さんと『令和ブルガリアヨーグルト』(宮木あや子著)打ち合わせ。

変わった構造の小説で、しかも明治さんと作られており、試みが面白い。

4/27

紙の商社である竹尾で、竹尾さんたち、水戸部功さんと打ち合わせ。

来年、ふたりでやる展示に向けていろいろ相談。

毎月恒例、なごみの美容院の日だったのだが仕事の算段がつかず、わたしだけ早めに切ってもらって、小学館へ。

SF短編のケース穴の位置調整会議。

ちょうどその時に編集部に置いてあった、とある方の貴重な原画を見せてもらう。

数十年、小学館の倉庫に眠っていたらしい…。

とある方のことが大好きなので、非常に嬉しかったけれど、ずっと眠らせていたってことは、まあいいことではないので…、細かくは書かないことにします…。

4/28

『ボンバルボン』(キューライス著)ラフ、夜ボリス雑貨店へ。

4/29

朝からほぼ日さん主催の『生活のたのしみ展』へ。

トリドリというたのしみ展のキャラクターをコンドウアキさんが描いたので、彼女にも会え、ふたりで少し買い物を楽しむ。

会場では、福田利之さん、せっちゃん(轟木節子さん)などなど、久しぶりの方々に会えてうれしかった。

4/30

家でゆるゆると仕事など。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。