コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第21回

12月の日記(前半)

2024年3月15日掲載

12/1

ちくまの表紙色校を戻し。

『熊本かわりばんこ』(吉本由美・田尻久子著)のカバーデザインが決定。

坂口恭平さんの絵をどれにするか迷っていたので、いくつかだしたのだった。

小玉ユキさん『狼の娘』3巻入稿。

チュンコ先生とTKと福岡へ。

TKは風景印を集めているので郵便局をいくつもまわる。

友人を久しぶりに訪ね、顔をみて、お寿司を食べた。

12/2

朝から資さんうどん。

前回の経験を踏まえ、ゴボウ天はやめてあっさりめうどんにし、ぼた餅をおまけに食べる。セレクトがいい感じになってきた気がする。

大人気の糸島産直市場・伊都菜彩へ。

開店前なのになかなかの行列。

その後、道の駅しろいしに寄り、昼食は久留米市の富松うなぎ屋黒田本店へ。

焼うなぎ、というものがこんなに美味しいとは知らなかった!

人生で一番おいしいうなぎだったと思う。

さらに道の駅筑前みなみの里へ。ついメダカを買ってしまった。

柳橋連合市場にて、いつもの店に寄り、明太子購入。

テレビで二人が見たという、11万種類の在庫を持つ「はんのひでしま」さんにも連れて行かれる。

「名久井」は、実家の方ではたまにいるくらいの苗字なのだが、ハンコは特注して頼んで彫ってもらうものという認識が強くあった。

だがおそるべしその店、なんと名久井の在庫があったので、購入。

チュンコ先生もTKもお友達の珍名さんをそれぞれ探し、1勝1敗だった。なかった方の苗字はさっそく彫られていた。

メダカたちとともに帰宅して、そういえば昨日のGoogleカレンダーに「カリン酒開けてみる」と書いてあったと思い出し、漬けていたカリン酒を開けてみる。

のどによさそう、という感じ。

12/3

朝、ずっと買いたいと思っているぬいぐるみのオンライン販売があったが、今回も戦いに負けた…(ライバルを増やしたくないので内緒)。

パレットクラブで先生をし、よろよろ帰宅。

12/4

『朝、空が見えます』(東直子著)本文修正、そとまわり入稿。

『百年と一日』(柴崎友香著)文庫の本文やりとり。

主婦と生活社にて、るるてあさんと打ち合わせ。

脱線する話がとても面白い。

MOEの付録、ヒグチユウコカレンダーの色校戻し。

12/5

コンドウアキさん『ムムさんのケーキやさん』色校戻し。

NHK山形の取材で新幹線で山形へ。駅を降りると雪が少し残っていた。

NHKの近くでランチを食べ、「編む」がテーマの取材へ。まずは、つる細工の力男さん。

力男さんちは、いろんなものが編まれていた…。

欲しいものを全部編んでいる、というスタイルに驚く。

力男さんお手製の箒をいただいた。毎年作り下ろすとのこと。

12/6

今日も取材。kegoya・熊谷茜さんのところへ。編まれたカゴも仕事場もとても素敵。

福龍軒でお昼を食べ、近くの小国郵便局で、今日が発売日のヒグチユウコさんの切手を購入。無事買えてほっとした。

ここまではさすがのTKもこないだろうと思って、官製ハガキを買って風景印もいただく。

カモスクに行くと、又吉直樹さんのサインがあって、少し前にいらしたのだなあと思う。

『金継ぎおじさん』(堀道広著)本文やりとり。

NHK「デザインミュージアムジャパン」番組についていろいろやりとり。

12/7

新庄ふるさと歴史センターへ。

説明してくださった方が、「先日全国の藩大会があって、南部藩とウチはお隣同士だったのですよ」と教えてくれた。世が世ならお殿様、や、代理的な人が集う大会らしい。

センターは徳川家だそうで、現代の参勤交代か!とちょっと思う。

わらがいかに生活に役立っていたか丁寧に教えていただいた。

最後に試着させていただいた、わらで編まれた防寒具がすごく似合いすぎて、自分でもびっくりした。

午後も、編む人、高橋伸一さんのお家でお話を聞かせていただく。

「お昼をぜひ」とのことで、こたつに入ってご馳走をいただく。

農家をされているので、野菜もいきいきと美味しく、そして驚くほどおいしい芋煮。

市場には出回らないそうだけど、ずいきの芋部分の芋も大変美味しかった。ご馳走さまでした。

夜帰宅して、『藤子・F・不二雄SF短編集』最終巻10巻のケース色校もどし。

12/8

眠らずに早朝出発して飛行機へ。いろいろあって突発的にパリへ。夕方到着。

12/9

見たり歩いたり凝縮した一日。クリスマスの街並みがとてもよかった。

12/10

午後飛行機へ。この日はほぼ空の上。

12/11

昼頃に羽田着。

家の周りのイチョウ並木があまりに美しくて、心から感動。

なんで今年はこんなに美しいんだろうと思う。

ひさしぶりに自分に花を買う。

12/12

ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。『朝、空が見えます』佳境。

夜、MさんとKさんとご飯。おいしいワインをはしご。

21_21の展示のことでやりとり。

チョ・ナムジュさん新刊『ソヨンドン物語』本文フォーマット提出。

12/13

ほぼ日にて打ち合わせ。

せっかくなので、1階のTOBICHIで「酒井駒子さんの数字展」も拝見。駒子さんの原画はいつもとてもきれい。

筑摩書房・大山さんと『片山廣子随筆集』のやりとり。

12/14

光文社・福生さんと打ち合わせ。

ナナロク社・村井さんと急遽打ち合わせ。

マンションの大規模な排水管工事が始まり、つらい。

キッチンの壁に穴を開けられてしまった(のちに塞がれるけど)。

『レベッカの見上げた空』(マシュー・フォックス著/堀川志野舞訳)全体のラフ提出。

PLAY! MUSEUMの鹿児島睦さん展示の時に購入した「くまランプ」が届く。

12/15

ジムへ。

『スピノザの診察室』(夏川草介著)新帯作成。

『藤子・F・不二雄SF短編集』最終巻10巻の本文いろいろ。

辻村深月さん『あなたの言葉を』本文やりとり。

師走を感じる。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。