コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第24回

1月の日記(後半)

2024年4月30日掲載

1/16

「たくさんのふしぎ」ツキノワグマの本の本文書体を決定(なんと11月号)。

マガジンハウス・大島さんと『Wピース』(劇団ひとり・中居正広・古市憲寿著)の打ち合わせ。

すこしだけボリス雑貨店へ。かわいいものを見せていただく。

東直子さん『朝、空が見えます』の帯のやりとりを数回して入稿。

ちょっとしたやりとりでぐんとよくなる。ナナロク社・村井さんとやる仕事の醍醐味。

深夜、友だちの猫が救急病院にいると聞いて心配になる。

1/17

くどうれいんさん『コーヒーにミルクを入れるような愛』の装画をお願いする、KASUMI OOMINEさんと講談社・堀沢さんと打ち合わせ。幸せしかない。

夕方からほぼ日で打ち合わせだったので、ついでに小学館へ寄る。

幸せで締めくくろうと伊勢丹へ寄って帰る。

小林エリカさん『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』の仕様やりとり。せつないやりとり。

1/18

『Wピース』ラフ。

入江明日香さん画集の戻し。

小学館・今本さんと北田卓史さんのアトリエへ。

わたしは未来に仕事の予定があり、今本さんはまた別の用事だったのだけれど、一緒に伺わせていただいた。

先生の絵が、そこここにたくさん!

渾身の鉄道模型のレイアウトがとてもかわいかった!

いつかみなさんも見られる日がくるはず…(期待を込めて思わせぶりに)。

興奮した気持ちを保ちつつ、今本さんと一緒に小学館へ。

社内で開催されていたTOPPANの「仕事のヒントに出会える展」を見る。

自分の担当した本もあってびっくりした。チェンソーマンの事例が面白かった。

マームとジプシー「equal」チラシのレイアウト。

ヒグチユウコさんのMOE連載「日々の綿」色校戻し。

ここ数日、3月に開催の竹尾見本帖展示に関するメールをもりもりとしている。

展示する本の許諾と、最終の仕様を聞くメールのやりとりなのだが、お忙しい中、編集さんたちの時間をいただいて申し訳ない気持ち。

そして仕様はちゃんと記録を取っておこう…と思った(思っただけ)。

1/19

小輪瀬護安さん『なんの くるまに のるのかな?』ラフ。

小輪瀬さんの描く乗り物はリアルなのにかわいい。

彼はなぜかパレットクラブの元生徒さん…。あんなに上手いのになぜ来ていたんだ?

(たまになんで?という生徒さんがいます……)

夕方から竹尾へ。

上川多美さん『〈寝た子〉なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』色校戻し。

特色の出方が、なかなかうまくいかず手こずっている。

夜、不思議な出会いで、小暮徹さん、こぐれひでこさんご夫妻と出会う。

チャーミング100%!

1/20

ずっと家。

1/21

佐野洋子『ぺこぺこ』ラフ。

二子玉川の高島屋SCガーデンアイランドへ行ってみようと思い立つ。

高島屋にくっついていると思ったら、意外と遠く、こっちの駐車場にすべきだったと後悔。

天ぷら定食を食べて帰る。

(わたしの中の勝手な)二子玉川を意識してロングブーツにタイトスカートを履いてみた(とてもめずらしい)。

1/22

山﨑おしるこさん『だんごむしまつり』絵本作業。

だんごむしはこんなに種類があるのか…とまた絵本から学ぶ。

1/23

ジム。

小学館・村松さんと、荒井良二さんと新しい絵本の打ち合わせ。

いつも荒井さんの絵本ラフは本当に素晴らしい。

なんというか、完成の絵本とはまた別の完成度。

岡野大嗣さんからかわいいLINEが。

「この服なら何色を買うか」という質問がきて、よい答えができてよかった。

先日偶然見たテレビで「くら寿司」がすごく褒められていたので、近所の店舗に行ってみる。テレビめ…。盛っていたな…。

うすうすはわかっていたけど、案の定という気持ち。

でもこうやって踊らされるのは楽しいのでやめたくはない。

帰りにGODIVAのクレープショップに寄る。

とてもおいしかった……。ひさしぶりのクレープはいいものだった。

生クリームをたくさん包んだうすい生地よ……。

クレープ屋さんのわりとある街に住んでいるので、もっと食べていきたいと思う。

1/24

市谷の杜 本と活字館へ。

「活字の種を作った人々」という展示(2024年6月2日まで開催中)を、企画した雪さん自らの案内で見るという豪華さ。

文字っこたちが集まった。

祖父江慎さんもいらしていたので、さらに情報量高めに。至福。

種字彫刻師の清水金之助さんは生前何度かお会いしているので、ひさしぶりに微笑む清水さんを見てうれしくなった。

高山一実さん『がっぴちゃん』色校戻し。

加藤千恵さん『あなたと食べたフィナンシェ』の装画が嶽まいこさんから届く。とても素敵。

夜はmargoでご飯。

1/25

『Wピース』表紙ラフ。

幻冬舎・武田さんと打ち合わせ。

左右社・塙さんと打ち合わせ。

太田出版・森山さんと橋本倫史さんと打ち合わせ。

『観光地ぶらり』。橋本さんらしい、橋本さんしか書けない本という感じ。

堀道広さん『金継ぎおじさん』見本着。

金箔にできてよかった…!

1/26

チュンコ先生と台湾へ。

いつか行きたいなと思っていた、Liquide Ambré 琥泊でお茶。

台湾のお茶はなんでこんなにいい匂いなんだろう。

夜はチュンコ先生おすすめの「クレープ巻き巻き」の店へ。

たしかにいろんなものを巻き巻きして食べる店だった。

見た目は「本当に?」という感じだが、食べると衝撃的に美味しい。

(種福園というお店です)

1/27

朝ごはんは大好きな燕山湯円。肉団子スープにまた出会えてうれしい。

そして台湾にきた理由でもあるヒグチユウコさんの展示を見に、国立中正紀念堂へ。なんと隣では「ドラえもん展」も。

来てよかった…来てよかったよ…素晴らしいよ…とユウコさんに念を送る。

昼ごはんは雙月食品社で驚きの蛤スープを飲み、悪そうな麺を食べた。

悪そうな食べ物は、だいたい例外なく美味しい。ギュッとくる。

(蛤スープは、今度来たら一人一個ずつ頼もうと話した)

夕方、青木由香さんのお店、你好我好へ。青木さんにも絶妙なタイミングで会えた。

これから人和園に行くからおすすめを書いて!とお願いし、「青木朋友」と描かれた印籠のようなメモを持って人和園へ。

これが最高の組み合わせだね!というご飯になった。ありがたし。

メモ(印籠)はまたいつかのために保存。

1/28

朝ごはんはいつもの極品光復素食包子へ行き、近くの公園で食べた。

インゲン最高。

希望広場農民市集に寄ってお茶などを買い、空港へ。

夕方には東京に戻り、仕事。

1/29

『埃だらけのすももを売ればよい ロシア銀の時代の女性詩人たち』(高柳聡子著)入稿。

筑摩書房のPR誌『ちくま』ラフ。市川春子さんの表紙の絵もさることながら、表2(表紙の裏)の神話もすばらしい。今からでも是非読んでほしい。

「たくさんのふしぎ ウンム・アーザルのキッチン」ラフ。

『〈寝た子〉なんているの? 見えづらい部落差別と私の日常』色校いい感じに着地!

文春の田中光子さんから、「穂村さんと来ていますよ」と北九州の松本清張記念館の写真がメールで届く。

松本清張記念館は、大学生の長嶋有さんとわたしが、どちらも(別ルートから)アルバイトで関わった場所。不思議な縁…!

1/30

『だんごむしまつり』絵本修正。

『なんのくるまにのるのかな?』入稿

入江明日香さん画集カバーラフ。

1/31

橋本さん『観光地ぶらり』本文フォーマット。

柴崎友香さん『百年と一日』の文庫の本文いろいろ。

ちょっとかわった小説なので、文庫でも単行本時のいろいろを踏襲しているのです。

藤井亮さん『ネガティブクリエイティブ』本文フォーマット。

原稿が、まだあまりきていなくてハラハラしている…。

筑摩書房・喜入さんと超ひさしぶりにお会いした。

「全出版人大会」なるもののお土産のデザインを頼まれたのだった。

前回は水戸部功さんデザイン。

東京新聞取材を受け、藤田貴大さん『T/S』の装画打ち合わせ。

筑摩書房・山本さんと、カシワイさんとzoom。

素敵になりそう。

最近の名久井さん

ゴールデンウィーク前進行、年末進行、というものに、

文学フリマ前進行、が誕生しているな、と感じます。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。