コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第28回

3月の日記(後半)

2024年7月1日掲載

3/16

竹尾にて水戸部功さんと「BOOKS」展トーク。

川名潤さんも来てくれてうれしかった。

企業内ギャラリーなのに、土曜日に開館してくれたスタッフのみなさんに感謝。

終わった後、水戸部さん、竹尾さんたちと打ち上げご飯。

3/17

板橋区立美術館へ。「シュルレアリスムと日本」を観る。

購入した図録がとてもよかった(加藤賢策さんデザイン)。

夜、もぎさんとeleven2ndさんへ。

3/18

午後、草思社・渡邉さんと打ち合わせ。

3/19

森瑤子『指輪』の装画を誰にするか考えていたのだが、パレットクラブの生徒さんだった米澤真子さんにお願いすることに。きっとぴったり。

夕方、ブロンズ新社にて色校。

その後、左右社にてSPBSの歌集を作るワークショップの打ち合わせ。

3/20

3時間ほど寝て、早朝からマイ鍬を持ってたけのこ掘りへ。

チュンコ先生とTKと3人。

まだ不作で、あまり採れなかったけれど、なんか今年は掘り方のコツを少しつかんだ気がする。

苦節何年だろうか。午前中で終え、朝ドレファーミに寄ってイチゴとクレソンを買い、クロヤナギ、ハタと巡回。どちらもおいしいハムの店。

とくにクロヤナギの白カビサラミは絶品。

ふたりが、墓参りに寄ってもいいかと言うので、ついてゆく。

まずは津田家の墓へゆき、新らしめの霊園にて、最近のお墓の流行りみたいなものを感じる。

次はTK家の多摩霊園の墓へ。地図があるほどに広く、一区画もゆったりでびっくり。

それぞれが違うお庭を持っているかのよう。

著名な方のお墓も多く、お墓マップを片手に、菊池寛、岡本太郎親子、スパイ・ゾルゲ、長谷川町子(敬称略)のお墓も寄ってお参り。

ものすごく東京を感じた…。

三鷹のJAにも寄り、チュンコ家の庭のカブと水菜をもらって帰宅。

たけのこをむいてむいて煮てアクをとる。

3/21

午前中ばたばたとして、竹尾に遅刻。肌寒いのに上着を着忘れてきてしまった。

水戸部さんや竹尾さんと代官山蔦屋さんの展開の打ち合わせをし、

河出書房新社の島田さんがきて、会場で打ち合わせ。

19時からお茶の水で打ち合わせがあり、水戸部さんが車で送ってくれた。寒かったので本当に助かりました。

穂村弘さん、左右社・筒井さんと打ち合わせ。遅くにおわって、ご飯を、と神保町方面へ彷徨う。

地下に広がる居酒屋ランドみたいなところに行きつき好きなものばかりたべて楽しい時間。

3/22

早起きして仕事をしているが何も片付いていない。

教育評論社・清水さんと神保町にて打ち合わせ。

ちょっと早く着いたので竹尾に寄り、その後ほぼ日にて打ち合わせ。

糸井重里さんがあまがみをしてくれるぬいぐるみを持ってきて、人差し指を差し出してあまがみをしてもらった。

あまがみは一定のリズムではなく、プロ感を感じる。

いいものだが…欲しいかと言われるとびみょうなぬいぐるみ。

急に、糸井さんにお気に入りの爪切りをいただく。

「切れすぎないところがいい」とのこと。楽しみ。

ほぼ日はダーダさんの豚汁の試食会が行われていて、ご相伴にあずかる。

ホワイト豚汁を出され、「クリームシチューじゃないの?」と声にだして訝しんでいたら、「味変」用の「カレーの恩返し」も出され、「クリームシチューをカレーに変えるってことじゃないの?」とさらに訝しんで食べたが、ホワイト豚汁はホワイト豚汁だった。クリームシチューにご飯は食べたくない派なのだが、これはご飯が食べられる。添えられてきた「梅と星」さんのうめぼしもおいしく、おやつまででてきて、すみずみまでホスピタリティ。

食べているばかりだったわけではなく、打ち合わせそのものが、なんかハッとすることが多く、「こういうことだよなあ」と思う(どういうことなのかはうまく書けません)。

もし、自分のいた会社でこんな打ち合わせができていたら、もっと長く勤めていたかもしれない。

3/23

朝野ペコさんの個展を観に、TOKYO PIXELへ。

近くにあった道具屋noboriさんに寄ったら、市川岳人さんの作品があまりに素敵で買ってしまった。

3/24

NHKエデュケーショナルの倉森さんから鳴門の生わかめ、ぼらぜ、いかが送られてきた!

生わかめのおいしさにびっくり。このおいしさは知らなかったなあ。

三陸のわかめもこういうのがあったのだろうか。

将棋会館×ヒグチユウコさんクラウドファンディングの商品が届く。

(パイナップル星人やじんちくむがいなどがかわいい)

3/25

京都のNISSHAさんにて片岡俊さんの写真集『LifeWorks』印刷立会い。

赤々舎も、片岡さんも、京都の方々。現地で集合する。

NISSHAさんの中にあるすごい博物館も見せていただき、楽しかった。

(申し込みをすると無料で見られるそうですよ)

夕方終わったので、タクシーに乗り、誠光社さんにだけ寄って帰ることに。

タクシーの運転手さんは住所をぜんぜん聞いてくれず、店の名前を言えと言う。

伝えると、スマートフォンに「ほんや せいこうしゃ」と大きな声で入力。

「今夜、成功者」と返ってきて、どこにも着けそうな気がしなかった。

道すがら「こんないい運転手はおりませんよ」と何度も言われ、返事に困りながらやっとのことで到着すると

「マニアックなところにきましたなぁ」と言われる。

誠光社さんで気になった、盛岡にまつわるエッセイ(なぜ京都で買ったのだろう)を新幹線で読んでいたのだけれど、誤字ばかりで何も頭に入ってこなかった。よさそうだったのにもったいない!

3/26

小学館の今本さんが夢に出てきた。伝えられても困るだろうが、LINEしてみた。

「現実の街とちがうんですが、坂の下にある店に大勢が集っており、帰ろうかなと思ったら、今本さんもちょうど帰る様子。送りますよ、と自転車の後ろに今本さんをのせ、坂を登っていたら、坂の途中で、あ、Fプロ寄って行きますといって、自転車からトンと降りて行かれました」

という他愛もない夢(夢はすべてそうか…)。

ミモザブックス・照山さんと打ち合わせ。

夜、祐天寺の「みょん」にてKさんMさんとご飯。

3/27

警察のようなところにいくと迷い犬と迷い猫のコーナーがあり100個ずつくらいボタンが並んでいる。押すとその子の鳴き声が聞こえる。顔は見えない。

本当の飼い主なら声だけでわかるだろう?という気概を感じるシステムだなあと思った。

という夢を見た。

買うのを迷いに迷っていた海外サイトの服が届き(買った)、入るか…入らないかと心配していたのだが、

むしろ大きかった。失敗した。

くどうれいんさんから「髭」の冷麺が届く! 冷麺といえば「髭」!

「髭」は今や人気店らしく、ふらっと行くなんて無理のようです(くどうさん情報)。

筑摩書房PR誌「ちくま」ラフ。

筑摩書房・守屋さんと打ち合わせ。

夜、穂村弘さんちに行き、奥様と青柳いづみさんと味噌を仕込む。

やぎ(青柳さんのこと)は市子ちゃん(青葉市子さん)と仕込んだ味噌の豆を半分持ってきていた!

3/28

竹尾へ。

着いてすぐKADOKAWA・大野さんと打ち合わせ。

マームとジプシーの新作「Dream a Dream」の仮チラシ入稿。

3/29

大平一枝さん『こんなふうに、暮らしと人を書いてきた』ラフ。

早見和真さん『店長がバカすぎて』幅広帯。このシリーズは帯とかいろいろ何度も作っているような気がする…。

夜、Kさんと、初めましてのMさんとmargoにてご飯。

3/30

同じ道を何度も通った日。

並木橋の交差点の桜がきれいだった。

3/31

チュンコ先生宅でごはん。かねてよりチュンコ邸に行きたがっていた親子を連れて行く。

チェーンビーズやモールを出されるが、可愛く作るのはなかなかにむずかしい。

朝採れたけのこのおこわをいただく。

最近の名久井さん

睡蓮の花が3つ咲いてごきげんです。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。