コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第33回

6月の日記(前半)

2024年9月15日掲載

6/1

名探偵コナンの映画を観に行った(2回目)。

ここ数年、毎年2回ずつ観ている気がする。

2回目はハラハラが少しだけ減るので、画面のいろんなところが見られる。

国立競技場近くに公園ができており、車でよく横を通っているのだけれど、夜に初めて足を踏み入れてみた。

昼間は…楽しさもあるのかもしれない。

椅子がものすごく座りにくかった。

(座りやすい椅子もあるのだろうが)

6/2

オモカドというものを見に行ってみた。

もう行かないような気もする。

子ども用のギター(なのにStratocaster)を突発的に購入。

Fenderの店員さんには、しつこく反対されるが、おしきって買った。なんと3弦。

その日のうちに何個か(3弦の)コードがひけるようになって、楽しい。

ギターの(ほんの少しは)弾ける人生のはじまり。

でも絶望的にギターが自分に似合わない。

6/3

朝起きると睡蓮がパリッと咲いていた。

夏到来だなあ。

イーユン・リー『ガチョウの本』ラフ。

るるてあさんのコウペンちゃん絵本ラフ。

扶桑社の初めましての方と本の打ち合わせ。

ネットで流れてきた梅シロップが美味しそうだったので、チャレンジすることに。

6/4

今日もパリッと睡蓮が咲いている。

MOEの付録のヒグチユウコさんポストカードラフ。

旧尾崎テオドラ邸で開催中の、しまおまほさんちの展示「Return to ’78-’85 洋館で暮らした私たち 島尾伸三+潮田登久子+しまおまほ」を観にゆく。

最終日にすべりこみ。

大事にとっておかれた全てのものが愛おしく、島尾さん家族のすばらしさに眩しくなる。

子どもの頃に、わたしも手にしたことがある、アラレちゃんに出てくる目覚まし時計のキャラクターの消しゴム人形があり、ここんちにもらわれてきた僥倖を目で伝えた。

ほんとうに、ここに住んでいたというのが、写真の端々や、山下和美さんの漫画から伝わってきて、じんわり。

潮田さんの写真集『冷蔵庫』の表紙のマグネットなど購入。

(もちろん冷蔵庫につけた)

6/5

ヒグチユウコさんと作っている『ちいさな画集 3・4』の色校戻し。

green seed books・戸塚さんと打ち合わせ。

ピーターラビット関係でSCPへ。

夜margoにてKさんとご飯。

6/6

左右社・筒井さんと『地球の恋人たちの朝食』(雪舟えま著)打ち合わせ。

ミモザブックス・照山さんと打ち合わせ。

6/7

かこさとしさんの絵で見る化学絵本の3巻ラフ。

楽しいけど本当にたいへん。

リトルモアにて、映画関係の本打ち合わせ。

夜、ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

6/8

チュンコ先生とTKと釧路へ。

着くなりいつもの「まるひら」へ。初日は塩味。

和商市場へ行き、いつもの店に寄る。

霧多布岬へ行き、遠くに、粒のようにみえる野生のラッコ親子を味わった。

マダガスカルに行く時に買った双眼鏡で見ても、粒。

携帯電話のカメラで超拡大しても粒。

チュンコ先生の高感度なカメラの拡大で、やっとかわいさが見えた。

前日に下見に(!)きたTKは、すぐそばで海藻にくるくるとまとわりつくラッコを見られたらしい。

行く先々で鹿を多く見た。

厚岸でチュンコ先生は牡蠣を召し上がったが、わたしは食べられないので、牡蠣の形のモナカを横で齧った。

夜ご飯も定番の「炉ばた」へ。

6/9

釧路二日目。

朝はいつもの「まるひら」。二日目はいつも「ミックス」を注文。

釧路湿原をのんびり散歩したり。

超巨大なソフ(トクリーム看板)にも出会えた。

友人からラインで猫の写真が送られてきた。

彼女は猫の名前をひらがなで書いてくるのだが、

わたしはなんとなくその子の名前をカタカナで書いてしまう。

大学生の頃、実家に帰省した時に、犬の病院につきあったことがある。

その犬は、わたしが上京した後に近所の大学の獣医学部から「明日殺処分になってしまうからもらってくれないか」と言われ、母がしぶしぶもらった犬なので、わたしにはあまりなじみのない犬だった。

(柴犬とハスキーと何かと何かのミックスで、変なブチのかわいい犬だった)

窓口でわたされた薬袋に「名久井ジョンくん」と書いてあり、母が、速攻で「じょんはひらがなのじょんです!」と強く言って書き直させた。

ということを超ひさしぶりに思い出した…。

じょんがひらがななのをその時初めて知ったが、書き直させなくても、と思った。

友人の猫もこんどからひらがなで呼ぼう…。

6/10

講談社・堀沢さんと高瀬隼子さん『新しい恋愛』打ち合わせ。

ボリス雑貨店へすこし寄り、白泉社にて、コンドウアキさん『ゆめぎんこう もぐもぐのおるすばん』色校。

6/11

小学館にて、荒井良二さんと最果タヒさんの絵本『うつくしいってなに?』色校。

『いわゆる「サザン」について』(小貫信昭著)ラフ。

サザンオールスターズの本を作ることが人生であるなんて!

6/12

ナナロク社の新刊の撮影(いちおうまだ書かないでおきます)。

著者を井上佐由紀さんのスタジオにて撮影した。

すばらしい立ち姿だった。

万城目学さん『魔女のカレンダー』本文レイアウト。

夕方から美容院へ。

6/13

夜、鈴木成一さん、アルビレオさん、水戸部功さんのトークを聞きにB&Bへ。

鈴木さんがこれから先生をやるというので、そのキックオフ的なイベントだった。

生徒さんになる人々が羨ましくて仕方ない。

6/14

浅生鴨さん『浅生鴨短編小説集 四メートルの過去』入稿。

福音館書店・日出間さんと打ち合わせ。

6/15

福岡へ。竹尾の福岡支店さんで、BOOKS展をやっており、イベントに呼んでいただいた。水戸部功さんと空港でお昼を食べ、竹尾さんへ。

東京とはまた違うお客様たちとお話できた。

倉庫も見せてもらって楽しい。

夜、竹尾さんに連れて行っていただいた居酒屋「竹乃屋」さんがとてもとても美味しかった!

最近の名久井さん

すべてのことに追いついてない気がしています……。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。