コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第32回

5月の日記(後半)

2024年8月31日掲載

5/16

朝から国立新美術館にて、デザインミュージアムジャパンのイベントに登壇。

今日から、展示が始まったので、その会見のようなもの。

昨日スペインから帰ってきたばかりだったが、NHKエデュケーショナル・倉森さんは、ロンドンから帰ってきたばかり。

小池一子さんや永山祐子さん、竹谷隆之さんという同期(?)メンバーと、会場構成の田根剛さんともお話でき、楽しい時間だった。

什器がとてもよくできていて、ついつい触ってしまった(ほんとはたぶんだめだ)。

竹谷さんが作られたコラージュ本が展示されていて、立体が中におさまったすごいものなんだけれど、「触ってみないとわからないから」と惜しげもなく、ご自由にさわってくださいの展示で、なんという心の広さ…としみじみ。

小池一子さんは今日もとてもかわいくて、写真を撮らせていただいた。小池さんにお会いすると、服を買いたくなってしまう。

くりはらたかしさん『ミスター・ソフティークリーミー まちをゆく』色校戻し。

晶文社・浅間さんと『発信する人のためのメディア・リテラシー』打ち合わせ。

5/17

車検に出していた車を取りにゆく。

タイヤを変えることになったので、なんだか、乗り心地が違う!

底がフカフカのシューズ?を履いた感じ。

自転車だと、まだわかる気もするが、車というものでも、体感があるのが不思議。

福音館書店へゆき、日出間さんと打ち合わせ。

5/18

自転車で下田昌克さんの個展「趣味の部屋」へ。

下田さんのホネホネも素敵だったけど、お手製の刺繍が施されたノート?があまりによくて、写真を撮った。

下田さんは次々と声をかけられ、人気だったので、ご挨拶を待つ間、『死んだかいぞく』の原画もじっくり見られた。

今年のボローニャ・ラガッツィ賞を受賞された絵本。

どうしても欲しいものがあり無印良品に向かった。

なんだろう、どうしても、という衝動がすごかったのだけれど、

ここにこう…書き出そうとするとなんでそんなに急いだんだろうと思う。

台所に置くカゴ……。

自転車で信号待ちをしていたら、ガードレールに、落とし物の長ネギがのせられていて、あまりにシュールだったので写真に撮った。

夜中に車で、「ドキュメント72時間」で観た、国立の南京亭に行こうと思い立った。

途中、穂村弘夫妻を拾って(よくついてきてくれたものだ)到着。

真夜中だというのに、ものすごく活気があって、なんだか懐かしい気持ちになった。

ご飯を食べた後(もう日付は変わっていたが)、穂村さんちに寄って、猫と遊んだ。

帰宅したら3時。

5/19

立川のPLAY! MUSEUMへ。

「ふたり 矢部太郎展」をやっと観に行けた!

今日は矢部さんがイベントをしている日。

みなさんの前で絵を描いていた。パンケーキというお題をお客さんからもらったみたい。

そっと後ろから見ていたのだけど、途中で気づかれてしまった。

終わってから、すこしだけ矢部さんとお話しして、おいとました。

GREEN SPRINGSにいくと、つい同じフロアの植物屋さん(Rust)を見てしまい、大きめの植物を注文してしまった。

5/20

かこさとしさんの絵で見る化学絵本シリーズ、1巻ラフ。

とても…たのしくて…やりがいのある仕事だが、やりがいがありすぎて大変だ!

(昔と現在で化学のいろいろが変わっているので直しています)

何年も前に担当した単行本がドラマになるらしい。

その登場人物の一人がブックデザイナーということで、どういう仕事をしているのか?など取材を受ける。

どんな部屋にすればいいのかと聞かれたので、とにかく紙と本がたくさんあるんですよ…壁があれば全部本棚のはずですよ…と答える。

「&Premium」のzoomインタビューを受ける。

5/21

矢部太郎さん『楽屋のトナくん』の本文デザイン。

夜、ボリス雑貨店にゆき、ヒグチさんと打ち合わせ。

いろいろいいものをもらった。一気に幸せになった。

5/22

神保町交差点近くのSOLIDAに棚を持つことになったので、初納品へゆく。

2階、シャルル・ガルニエ広場3番地というところなので、通りかかったらぜひ。

わたしの本棚は活気がないんですが(すみません)、他の方の本棚は、キケンですよ(財布が)。

5/23

朝、板橋区立美術館へ打ち合わせ。

とてもいい打ち合わせだった(内容はまだ言えない)。

trippenへちらっと行き、頼んでいた靴の受け取りなど。

夜、新潮社へ行って、装幀室の黒田さんから、高級な、凝った本を見せていただいた。

発売されたら是非見せていただきたいとおねだりをしていた本。

なんとなく、書いてはいけないような気がするので書名は出さずにおく。

過去の、別の凝った本も見せていただいて、黒田さんとただ本のことをおしゃべりをするだけという豪華な時間だった。

5/24

MOEのふろく版のコンドウアキさん「ゆめぎんこう」入稿。

午後、三菱一号館美術館のオフィスにて打ち合わせ(内容はまだ書けない)。

銀座で、今日から、大好きな古賀充さんの展示スタートだったので、MUJIのギャラリーへ。

オープニングパーティがこれから行われるというので、始まる前に帰ろうと、そそくさと購入して、お会計を待っていたら、気を利かせたギャラリストの方が、ご本人を連れてきてくださった。

申し訳ない気持ちと、好きな気持ちがあるほどうまく話せないもどかしさで、早く消えたい!と思いながらご挨拶(でもうれしかったです)。

18時半からは国立新美術館にて、NHKエデュケーショナル・倉森さんとゆるゆるしたギャラリートーク。

小学生のお客様と名刺交換をした。先が楽しみな方だった。

終了後、倉森さんとご飯を食べにゆく。

実はお花を隠し持っていっており、少し早いお誕生日会をした。

5/25

枯れたまま見つめていた植物を、やっと処分。

5/26

午後からSPBS豊洲にて、歌集を編もうワークショップの講師。

みんなの歌集がもうすぐできる、という高揚感を感じた。

5/27

イーユン・リー『ガチョウの本』表1のみラフ。

翻訳モノは、表1(本の表側)だけ先に本国に許可を得ることが多いのです。

キューライスさん『ボンバルボン』ラフ。

午後、印刷博物館にて、大島依提亜さん、津田淳子さんの出展者に加え、

ゲストに祖父江慎さん、わたし、のトーク。

祖父江さんが開始時刻になっても来ておらず、実は、たまにラインがくるのをちらちらと見て返信していた。

終了後、TOPPANさんと、みんなでご飯。めずらしいメンバーで楽しかった。

5/28

小玉ユキさん『狼の娘』ラフ。

午前中、くりはらたかしさん『ミスター・ソフティー~』打ち合わせ。

先日Rustで買った大きめの植物が届く。

届けに来て、ベランダで植える作業をしてくれた方に、うちから見えるあこがれベランダさんを見せ、

携帯電話のカメラで拡大して、この植物はなんでしょう?と聞いてみた。

(しかし今、その植物名が思い出せない)

主婦と生活社にて、るるてあさん『コウペンちゃん うみとおさんぽ』色校。

ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

5/29

浅生鴨さん『浅生鴨短編小説集 四メートルの過去』ラフ。

もう4冊目。この本は背でドラゴンボールしてるので、増えていくほど楽しい。

ナミサトリさんの絵が毎回とてもいいので、じっくりみてほしい。

水戸部功さんとダイオーペーパープロダクツの工場見学へ。

はじめてみる工程もあり、グッときた。

水戸部さんの反応を見るのも新鮮。

抄造しているところを見ると、なんだか愛情がわき、ハンマートーンを使いたくてたまらなくなった。

(新だん紙も使いたいが、なかなか機会が見つからない)

5/30

左右社にて『空き箱』打ち合わせ。

福音館書店・北森さんと打ち合わせ。

5/31

夕方、教育評論社・清水さん、しゅんしゅんさんとオンライン打ち合わせ。

荒井裕樹さん『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』の装画の相談。

しゅんしゅんさんとは、「ツバキ文具店」シリーズでずーーっとお世話になっているのに、打ち合わせは、はじめまして。絵のとおりのお声。

オンラインで買っていた「塊魂」のグッズが届いてほくほく。

イトコやハトコのシールなどたくさん買った。

かれこれ…20年くらい、毎年、穂村弘さんに誕生日プレゼントを渡すのを楽しみにしているのだが、今年は10日遅れでやっと見つけた! 遅れたのは初めて。穂村さんごめんね。 

お友達のKさん推薦の高麗人参サプリのお試しを注文しようとしたら生年を選ぶところが1924年からだった。

さすが高麗人参だな、と感じ入った。

最近の名久井さん

八月は、息を止めていたら終わっていた、みたいな感じです。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。