コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第41回

10月の日記(前半)

2025年1月15日掲載

10/1

板橋区立美術館で行われる、レオ・レオーニ展図録、そとまわり入稿。

ジムへ。

夕方から竹尾にて水戸部功さんと、次の「BOOKS」展について打ち合わせ。

そのあとふたりでアルビレオさんの事務所へ。

ひとさまの事務所に行くことはほとんどないのでキョロキョロ。

スタッフさんがヨシタケシンスケさんの絵本のクリスマス帯を作っているのが見えて、思わず「わたしも先週やってたよ!」と声をかけてしまった。

鈴木久美さんも合流してご飯会へ。

5人全員同業者ってとてもめずらしい。

10/2

NHK小湊さんが上野千鶴子さん『マイナーノートで』色校を持ってきてくれる。

実業之日本社・藤森さんと彩瀬まるさんの新作小説打ち合わせ。

里山社・清田さんと「96歳セツさんの日めくりカレンダー」打ち合わせ。

日めくりができるひとは本当にえらいなと思う。

わたしは平気で数日そのままにしてしまう…。

10/3

「このマンガがすごい!」の投票アンケート締め切り。

〈オンナ編〉に長く投票をさせてもらっているけれど、今はネット上で読む作品も多く、〈オンナ編〉なのかどうか迷うものも。

でもだからといって男女の区別がなくなったらいいのかというと、少女漫画が好きな身としては、区別があった方がそれぞれのよい作品を同等の数で知ることができてうれしいなとも思うし、むずかしいところ。

午後、板橋区立美術館へ。レオ・レオーニ展図録色校。

いろいろ現物を出していただいて眼福。

バックヤードで初めて見る作品群は、意外と大きかったりしてびっくり。

青幻社・古屋さんと松岡館長がふたりともかわいい柄の服を着ていて、写真を撮った。

わりと大勢で、和気藹々と楽しい色校時間。

夕方、小学館・ドラルームへ行き、『藤子・F・不二雄がいた風景』色校。

10/4

キャビンカンパニーさんの絵本。また受賞とのことで、おめでとう帯入稿。

ヒグチユウコさんのMOE連載「日々の綿」入稿。

北澤平祐さん『ユニコーンレターストーリー』本文の特色を5つ決めた。

ミモザブックス照山さんと三浦しをんさん『緑の鳥』やりとり。

夜、植田真さんの個展へ。

ライブペインティングをされていたので、大盛況。

絵本編集者さんたち勢揃い。

タダジュンさん、さかたきよこさんにもお会いできた。

実は、ここに荒井良二さんもくると聞いていたので、つかまえて打ち合わせがしたかったのだった。無事キャッチ。

10/5

10時間寝てしまった。

10/6

吉祥寺へ行き、coppiceで充実。

coppiceは、もしかしたら吉祥寺の人々にはよくある感じのショッピングビル?かもしれないが、わたしにとっては癒しのビル。

そして今一番わたしを虜にしているのは5階。

シルバニアファミリーをじっくり見て、ジグソーパズルも検分。

地下のカルディも広くて楽しい。

自分の車のオドメーターが41414kmだったので、写真に撮った。

買ってきたジグソーパズル(なつかしいサンリオ柄)を早速作った。

2時間ちょっとで完成、そしてすぐ崩してジプロックへ。

10/7

レオ・レオーニ展図録本文入稿。

主にこゆるぎデザインの安藤さんががんばってくれた。

水野しずさん歌集『抜け出しても抜け出しても変なパーティー』入稿。

豊崎由美さん『どうかしてました』ラフ。

ほるぷ出版にて、荒井良二さん『空はみんなのもの』色校。

よくない仕上がりにぐったりする。

10/8

ジムへ。

かこさとしさん化学絵本色校を見に講談社へ。

5冊あるので、ものすごく疲労。そして全巻通して見ると、いろんな不具合もあり調整。

夜、ヒグチユウコさんとごはん。遅かったので、空いている店がどこもなく、サイゼリヤへ。

夜のサイゼリヤは若者たちがひしめきあっており、もうわたしたちがくるところではないな、と話した。

10/9

チョン・セランさん『私たちのテラスで、終わりを迎えようとする世界に乾杯』ラフ。

酒井駒子さん『ゆきが やんだら』新装版ラフ。

ちょっとだけ伊勢丹へ行く。

10/10

谷村新司さんの詩集の年表フォーマット作成。

左右社・筒井さんと打ち合わせ。

矢部太郎さんと「光る君絵」本のzoom打ち合わせ。

小学館にて『藤子・F・不二雄がいた風景』色校。

10/11

チュンコ先生とTKと毎年恒例の釧路。

朝飛行機に乗り、昼ごはんは大好きなラーメン、まるひら。塩味にした。

予定がなかったので、遠いけれども六花亭の帯広本店までドライブ、札幌本店と帯広本店でしか食べられないという賞味期限3時間のサクサクパイを食べた。

ものすごい美味しさで、サクサクパイとしかいいようのないサクサクさ。

これはもう3時間も保たないだろうよ、とクリームをやさしく包むサクサクを喰む。

またいつか食べたいものだ…。

道の駅などいろいろ堪能して、夜はいつもの炉ばた。

今年の秋刀魚は、少し小ぶり。

店員さんに「いつもきれいに食べていただいてありがとうございます」と言われた。

完全にもう覚えられている。わたしをっていうより、わたしが食べた魚の骨を覚えているのかもしれない。

10/12

朝ごはんにまたまるひらを食べ(今度はミックス味)、いつもの和商市場の田村商店へ行き、道の駅をまた堪能。

昼ごはんはわたしとTKは麺や北町へ。

チュンコ先生は牡蠣そばへ。

午後早めの便で帰京。

旅から早めに帰るとまだその日が使えるのがうれしい。

10/13

ナナロク社さんのイベントで、葉々社分室へ。

夕方まで、ゆるっと村井さんと話しつづけるという、イベントといっていいのか微妙なやつだったけれど、入れ替わりいろんな方がきてくださって、皆で卓を囲み、なごやかだった。

編集者1年目の方と、来年から編集者になるという二人の女性が、仲良くなっていて、連絡先を交換しているのをまぶしく見た。いいイベントだったと確信。

いま、本を作成中の浅井音楽さんもいらしていて、びっくりした。

村井さんと、お客さんとしてきてくれた校正者の牟田都子さんと、ふらっとその辺のお寿司やさんでご飯を食べ帰宅。

地元の人に愛されているような店のカウンターの端に座り、ちょっと3人で旅に来たみたいだった。

10/14

ずっと家。

ピーターラビットを全巻読み直し、週末に行われる、みえこラビット(川上未映子さん)との対談にそなえて、話す場面選び。

10/15

『藤子・F・不二雄がいた風景』帯レイアウトをし、後藤正文さんと藤原辰史さんの本の仕様決めた。

『私たちのテラスで、終わりを迎えようとする世界に乾杯』入稿。

サラ・アーメッドさん『苦情はいつも聴かれない』色校。

午前中、毎日新聞出版にて、井上涼さんと打ち合わせ。

夜、偕成社・丸本さんと打ち合わせしつつご飯。

プリンまで食べた。

最近の名久井さん

正月に少し片付けたのに途中で終わり、

そのままになっていてよりひどくなっています。

もくじ
著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。