コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第46回

12月の日記(後半)

2025年3月31日掲載

12/16

『すべては「旅」からはじまった』(森翔吾著)イラストレーターさんを決める。

ピンときて、太田マリコさんに。

『問題。以下の文章を読んで、家族の幸せの形を答えなさい』(早見和真著)入稿。

帯に別シリーズ(しかも別出版社)「店長がバカすぎて」の登場人物がコメントを顔出しで寄せているという珍しいことになった。

『有名人の死に心がゆらいだら 喪失と自殺予防の心理学』(高橋あすみ、大井瞳著)本文作業。

小川洋子さん『遠慮深いうたた寝』文庫オビ作業など。

12/17

コンドウアキさんの展示(心の中の通称、大コンドウ展)チラシの修正。

ジムへ。担当のトレーナーさんが、今月いっぱいでお別れ。

カウントダウンがはじまって、すこしさみしい気持ち。

今日はHUNTER×HUNTERのネテロの「心」Tシャツを着ていた先生…。

手でハートも作ってくれた…。

夜、水鈴社・篠原さんとご飯。

帰り、とても月が丸くて、ちょうど東京タワーも見え、きれいだなあと思って写真に撮るといつも通り、月がちいさい。わかってたけど。

街はとてもネオン。

12/18

イーユン・リー『水曜生まれの子』ラフ。

翻訳物は、表1だけ(会社にもよる)のアプルーバル用ラフから、結果を受けての全体の本作業まで時間があくことも多く、毎回、その時間だけの「感じ」がある。名付けるなら、「アプルーバル待ちの間の特になにもしなくていいタイム」っていう感じ。

そのままだ。

ヒグチユウコさんMOEの付録用クリアファイル作業。

とてもかわいくできた(絵がかわいいからだけど)。

小玉ユキさん連載「狼の娘」カラー扉作業。

昔はBetsucomiのカラー扉とかよくやっていたけれど、今は小玉さんの作品だけ、カラー扉を担当している。漫画雑誌を楽しみにしていた子ども時代があるので、とても好きな仕事。

12/19

彩瀬まるさん『嵐をこえて会いに行く』色校。

五十嵐大介さんの水彩画の微妙な色合いがなかなかでなくて苦戦。

もう一度出すことに。

福音館書店・北森さん&中村さん打ち合わせ。

夜、矢部太郎さんとスタッフさんと打ち合わせ。

12/20

朝からブルーシープさんと展示のことでzoom会議。

ジムへ行き、KADOKAWA・佐々木さん、太田マリコさんと『すべては「旅」からはじまった』zoom会議。

志学社・平林さんと打ち合わせ。

マガジンハウス・大島さん、瀬谷さんと打ち上げご飯。

梨木香歩さん『ヤービと氷獣』箱と表紙と口絵入稿。

ヤービシリーズ3作目。

前作から数年経っていることもあり、資材の高騰で、すこしマイナーチェンジが行われた。

比べると少しさみしい。

でも! 作品の良さには変わりがありませんし、ほとんど気づかれないことなので、きっと世界でひとりわたしがさみしい。

12/21

上出惠悟さんの展示を梯子。

t.gallery「瓷板画展Ⅳ“SYNERGY”」、スパイラルでのART FAIR TOKYO。

変な話になりますが…ギャラリーのあと、どうしてもお手洗いに行きたい気持ちになり、キョロキョロ近所を見渡してもコンビニエンスストアやカフェはなく、目に入ったのが大きな複合オフィスビル。

土曜のせいか表玄関は開いていない…。けど上を見ると働いている会社もあるようだ。

昔とった杵柄という単語がピカーンと思い出され、こういうビルには通用口があり、だいたいその近くにはトイレがあるものだ、という記憶が思い出され、見事的中。

大きめの会社で会社員をした経験が、辞めてから一番功を奏した。

スパイラルでは、ギャラリーの稲葉さんとも久しぶりにお会いできてたのしかった。

夜、祐天寺のmargoにて荒井良二さんたちとご飯。途中からSalyuさんもいらして、アルバムの打ち上げとなった。

12/22

荒井良二さんが今年担当された「市原湖畔美術館子ども絵画展」ポスターなど色校確認。

夜、NHKエデュケーショナル・倉森さんとご飯。

テレビマンユニオン・岸さんも合流。

12/23

おおのたろうさん『じんせいさいしょのあいうえお』ラフ。

北村紗衣さん『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』文庫ラフ。

坂本葵さん『その本はまだルリユールされていない』本文作業。

柴崎友香さん『遠くまで歩く』色校。

主婦と生活社・大塚さんと打ち合わせ。

グラフィック社へ行き、色校。

12/24

彩瀬まるさん『嵐をこえて会いに行く』色校。

やっと、やっといい感じになって、実業之日本社・藤森さんとほっとした。

あかね書房・榎さんと打ち合わせ。

一緒に年末に韓国旅行をしようとしていたメンバーの一人が風邪で行けなくなり、まとめて予約していた飛行機のキャンセルなどをする。

とてもさみしくてざんねんだよ! イデアさん!!!

12/25

朝起きてベランダでメダカに餌をやっていたら(冬は睡蓮の葉がないのでよく見える)、近所のおもちゃやさんからポン、ポン、ポンと木琴の音が聞こえてきた。

開店前の店員さんだろうか。

耳を澄ますとわたしの一番好きな聖歌で、しかもうまい。

だんだんとアレンジが効いていき、和音がすごくなり、棒を2本ずつ持っているのかもしれないと思いつつ堪能。

クリスマスだな…。

マームとジプシーたちと、次の公演「Curtain Call」うちあわせ。

12/26

韓国へ。大統領のいろいろがあったので、心配していたけれど、何事もない感じ。

ヒグチユウコさんが展示をしているのを観るのが目的のプチ旅行。

ホテルにチェックインして、ザ・ヒュンデ・ソウルへ。大きな大きなデパートで、その上の方にあるすてきな美術館で展示だった。

本人と観るというスペシャル体験を置いておいても(置いていいのか?)、展示の造作も素晴らしく、ここまでできるのか!と感動。

何度も見ている絵もまた違った顔を見せているようで、うれしくなった。

ゆっくりゆっくり見て、展示グッズなども楽しんだ。

このデパートは高層階が吹き抜けになっており、滝のようなものや、せり出したカフェや、ホリデーマーケットがあり、とても立派でうつくしかった!

ホリデーマーケットはサーカステントと気球がモチーフに使われていて、外からはテントの中は見えず、連立するテントとたくさんの気球(本当に乗れそうな大きさ)に圧倒された。

ヒグチさんの日本での展示は「circus」がテーマだったので、とてもよく似合っていた。

地下ではドラゴンボールのpop-upが行われており、天下一武道会のフォトスポットみたいなものがあった。

素敵な書店、THANKS BOOKSへ寄り、夜はヒグチさんの会社スタッフさんおすすめの鍋へ。

とてもおいしかった!

12/27

DDPを見に行く。ザハさんデザインの建物は内部も素敵で、東京のアレもそうだったなら、とふわっと思う。

minä perhonenの展示をやっていたので、ふたりで「あの服がほしい、あれは持ってた」など、いいながら堪能。

続いてD-museumへ。

ビルの中なのに入ってみると一軒家のような様相となり、内装や家具の見本とともに美術作品がある感じの不思議な展示。

部屋が変わるたび雰囲気も変わり、グッズのTシャツなどはクローゼットに並んでいた。

最後にアレキサンダー・カルダーの作品もあってうれしかった。

流行っているというカフェ、onionへ行き、流行っているという塩パンなどを食べ、大きな書店やスーパー、無印良品などをまわって大荷物となった。

12/28

午後早めに帰宅。

12/29

佐内正史さんの事務所で写真集の本文打ち合わせ。

5時間ほどいたので、お昼に、猫米さんのお弁当を出していただいて、かわいらしく、おいしかった。

『笹餅おばあちゃんの手でつくる暮らし』(桑田ミサオ)ラフ。

12/30

待ちに待った餅つきの日。

わたしは餅をのすのが人生で一番の楽しみなので、この日が待ち遠しくてたまらないのだ。

朝6時に小学館・今本さんが家にきて、その後、今年から参戦の越前のお館さま(わざわざ上京)を車で拾い、チュンコさんのお父さんの家へ。

チュンコさんのお兄さんの友達、お父さんの友達、など、餅つきでしか会わない人も多いのだが、もう10年以上も毎年会っているので、もう(本当の親戚より断然会っている)こっちが親戚のような気持ち。

チュンコさんの作る巨大おこわ4種類など堪能し、畑の大根を抜かせていただいたりして帰宅。

今年はとてもおいしい餅ができたように思う。

12/31

朝起きて、昨日の餅を角餅に切った。

(時間が経つと固くなって切りにくいので朝がベスト)

お昼頃から伊勢丹へ。

愛用の5年日記帳には、大したことを書いていないのだが(書いていない日もとてもある)、大晦日の伊勢丹の駐車場具合、何階で何を買ったか、などは記してあり、目当ての伊達巻やそばなど購入。

歳末のデパートが心から大好きで、人が多くていやな向きもいらっしゃるだろうが、皆が、年越しに向けて、ちまちまとおめでたいものを購入しているのを見るのがとても楽しくて、うれしい気持ちに。

鶏でお雑煮用の出汁をとりながら、いつもどおり年越しは2355をみて「たなくじ」。

「すっごい大吉!」だった!

最近の名久井さん

車が故障してずっと入院していましたが、帰ってきてうれしいです。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。