コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第42回

10月の日記(後半)

2025年1月31日掲載

10/16

レオ・レオーニ展図録の色校戻し。

来年、三菱一号館美術館で開催のビアズリー展の図録のzoom会議。

カバーの絵について、意見が割れていたので、ちゃんと話そうということに。

ビアズリーの絵は際どいものも多く、そして際どさの捉え方は人それぞれ…。

なんとなくいい感じに着地したように思った。

ナナロク社・村井さんと初谷むいさん歌集の打ち合わせ。

10/17

朝日新聞さんと、レオ・レオーニ展グッズを作成する会社さんと打ち合わせ。

見たことがないタイプのグッズや、最近手がけられたグッズを拝見して、とても楽しかった!

あれもこれも、実現するといいなあ。

みんなが楽しんでいる打ち合わせは、だいたいいい結果になる気がするので、今回も大丈夫だろう。

福音館書店へ行き、北森さんと打ち合わせ。そのまま日出間さん、中村さん、星野さんとも打ち合わせ。

北森さんは小学校からずっと愛用のドラえもん缶ペンケースを使われていて、何年か観測をしているのだけど、ひさしぶりに記録写真を撮った。順調に錆びて、いい味を出している。

小学館へ行き、今本さんと会った。

10/18

石沢麻衣さん『かりそめの星巡り』入稿。

午後から、荒井良二さんとロダーリの絵本『空はみんなのもの』、データ校のため精興社へ。オペレーターさんの後ろに張り付いて色校と比べつつデータを直していただくという、双方疲労困憊の時間。綺麗にでますように…。

10/19

ピーターラビット刊行記念ということで、神保町にて川上未映子さんと対談。

会場にはピーター(の着ぐるみ)も来てくれて盛り上がる。

未映子さんのおかげで対談は、めちゃくちゃ盛り上がり、気づくと壇上でふたりで物語再現芝居をしていた…。

今回の訳は、関西弁が用いられているところがあり、未映子さんの実演がすばらしかった。

「アナ・マライアはん!」と呼ぶ声の自然さよ。

サイン会では、来ているお客様のピーターラビット愛が素晴らしく、着ているものや、お持ちのもので楽しませていただいた。

わたしも中学校のお弁当はピーターラビットだった。

終わった後、早川書房の1階のクリスティへ。

打ち上げ用に晩餐を用意してくださり、ピーターラビットに合わせて考えられたメニューたちが並び、お料理も美しく、毎回写真を撮ってしまった。

終わるころ、未映子さんから編集の窪木さんへのプレゼントにもらい泣き。

本当に窪木さんは細やかに、淡々と、そして長く、がんばっていた!(涙)

10/20

ずっと家。

10/21

『編むことは力』(ロレッタ・ナポリオーニ著、佐久間裕美子訳)ラフ。

小学館へ行き、竹井さんと『僕には鳥の言葉がわかる』打ち合わせ。

グラフィック社へ行き、津田さんと打ち合わせ。

筑摩書房・藤岡さんと『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』の文庫打ち合わせ。

10/22

ビアズリー図録修正。この図録は全ページ自分でやっているので、文字修正も大変なのだった。図録はリストが…つらい!けど、青幻舎・至田さんと佐藤さんの戻し方が素晴らしいので、そこでだいぶ楽になっていたと思う。

ジムへ行った。

ベランダのアゲハ蝶の羽化を目撃。しばらく見守った。

greenseedbooksさんと打ち合わせ。

少しだけボリス雑貨店へ。

夜チュンコ先生とご飯。

マンション前の銀杏並木の下にたくさんの実が落ちており、これは食べたらいいんじゃないか、とチュンコ先生に相談したら、食べるようにする手順がめんどくさすぎて無理と判断。拾うのはやめた。

10/23

朝から鈴木ジェロニモさん撮影。追加撮影なので、お互い慣れたものだ。

マガジンハウスさんと打ち合わせ。

夜、NHKエデュケーショナル・倉森さんと角川春樹事務所・原さんとご飯。

お二人が長い長いお友達と知って、せっかくなので(?)わたしも混ぜていただいた。

ローブリューのスープがとてもとても美味しかった!

10/24

伊藤亜和さん『アワヨンベは大丈夫』入稿。

ビアズリー図録本文入稿。

夕方小学館へ。

伊勢丹に寄って充電して帰る。

10/25

ビアズリーカバーラフ。

石井ゆかりさん『星占い的時間』ラフ。

午後、佐内正史さんの事務所へ行き、写真集打ち合わせ。

10/26

朝、新幹線に乗って八戸へ。

真後ろの席には水戸部功さんがいた。

八戸ブックセンターで、重実生哉さん、水戸部功さん、わたし、の展示があり、今日はトークイベントがあるのだった。

初めての八戸ブックセンターは大変面白そうな本屋さんで、このお店があるとないとでは、八戸の人の幸福度が違うだろうと勝手に思った。

お昼に手打ちそばに連れて行っていただいた。せっかくなので南部藩セット。

わたしは南部藩の人間だが、八戸も南部藩なのだ。

八戸美術館にて、トークイベントをさせていただき、夜ご飯は、みなさんで不思議な店へ…。

ホテルにチェックインしたら、カウンターに募金箱があり、よく見ると「あなたの募金で菊人形を制作します はちのへ菊まつり」と書いてあった。

10/27

昨夜、飲みの席で、八戸の朝市はすごいんだから、行きましょう! みたいな流れになり、タクシー会社に片っぱしから電話しても、どこももう全部予約でいっぱい。

そんなにみんな朝市へ行くのか…。

そこにはいなかった八戸ブックセンターの所長さんが、車を出してくださるということになり、5時に出発。早い…。

市場はいろんなものでひしめいており、初めて見るものなど買い食い。

市場の帰りにウミネコ繁殖地で有名な蕪嶋神社へ連れて行っていただいた。

この季節はもうウミネコはいないけど、素敵なところだった。

水戸部さんとビールを飲んだり寄り道しつつ帰京。

10/28

PR誌「ちくま」入稿。

『ルート29 ノベライズ』入稿。

小玉ユキさんラフ。

夕方左右社塙さんとティモンディ・前田さんの本の打ち合わせ。

10/29

京都へ行き、後藤正文さんと藤原辰史さん撮影。

ふたりを待つ間、雨が降る中、ミシマ社・星野さんと鴨川の橋の下でおしゃべりしたのが、なんかとても沁み入った。

皆がだんだん集まり、久しぶりに濱田英明さんに会った。相変わらずの体幹の良さを感じつつ、ずっと、濱田さんかわいい…かわいい…となぜかこの日は思い続けていた。

帰り道に、濱田さんの装いが完全にドラえもんカラーだったことに気づいて、これが原因か!と思った。

早めに終わったので、電車にのって大阪へ。

大阪への行き方はゴッチさん始め、みなさんが案をだしてくれて、結局京阪に乗ることに。

駅の真上の淀屋橋竹尾で大島依提亜さん展示を堪能して帰宅。

10/30

小学館・竹井さんと、100%ORANGEさんと『僕には鳥の言葉がわかる』のzoom打ち合わせ。

晶文社・安藤さんが『アワヨンベは大丈夫』色校をもってきてくれる。

昼間ちょっとボリス雑貨店へ。

夕方、ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

10/31

柴崎友香さんの新刊打ち合わせ。

午後、下田昌克さんと打ち合わせ。

夕方、矢島峰月先生の個展へ。講談社・斎藤さんと落ち合った。

木下龍也さんの『すごい短歌部』の装画用の文字をお願いしていて、個展会場に取りに行ったのだった。

もう少し書いて欲しいかも…ということになり、斎藤さんと峰月先生は先生の書道教室へ移動。

わたしは一旦家に戻って、打ち合わせしてから斎藤さんと交代で見守ることに。

目の前で柿を食べながら素敵な文字をいただき、それを講談社に車で運び、裏受付へ渡して今日の任務終了。

峰月先生が文字を書きながらお話されていたことがとてもよくて、覚えておこうと思った。

最近の名久井さん

いろんなことがギリギリすぎて

この日記も遅れました…。

もくじ
著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。