コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第43回

11月の日記(前半)

2025年2月15日掲載

11/1

浅井音楽さん『しゅうまつのやわらかな、』ラフ。

実業之日本社・藤森さんと五十嵐大介さんと、彩瀬まるさん新刊についてzoom打ち合わせ。

舞台のひとつの盛岡の景色を描いていただくので、ローカルな話題が飛び交う。

ミモザブックス・照山さんと打ち合わせ。

松岡茉優さん『ほんまつ』を作ったメンバーでご飯。

御結婚祝いを渡しそびれていて、やっと、みんなでカードも書けた。

11/2

eleven2ndさんの還暦お祝いへ吉祥寺。

双子の姉妹と並ぶ姿はかわいく、お二方の知り合いたちがゆるく交わる感じも心地よく、知らない方ばかりだったけれど、よい空間で、ちょっと双子うらやましいなと思った。

(そのふたりだから素敵なだけで、わたしが双子だったら喧嘩ばかりかもしれない)

11/3

早朝の飛行機で沖縄へ。「デザインのひきだし」の連載、本づくりの匠たち取材で、グラフィック社・津田さんとカメラマン・井上さんと3人旅。

名護に芭蕉紙を見に行った。材料の採取も見るならこの季節と言われていて、何年か越しに実現。

11月だというのに、半袖でも汗だくになるくらい暑い。

芭蕉の畑の作業と、工房での材料づくりの作業を見せていただく。

夜ご飯は、芭蕉紙のところでおすすめされた「ゆきの」というお店へ。

とてもおいしかった。なんでもあった。沖縄料理から、カツカレーまで…! 

からし菜の漬物が入ったフーチャンプルーが最高だった。

近所なら週3くらい通うかもしれない。

11/4

今日も取材。昨日の材料を使って、実際に紙を作っていく工程を見せていただいた。

取材が終わり、おしゃれなカフェに入ったら、ドラえもんの古いグッズが置いてあり、「あれはなんですか?」と店員さんに聞くと「知り合いに頼まれて仕方なく置いている」とのことだった。

せっかくなので、渡久地港に行き、水納島からの最終フェリーが入ってくるのを見守った。

橋本倫史さんが水納島をよく取材しているので、降りてきたら面白いなと思ったけれど、さすがにそれはなかった。

橋本さんの本部市場の本をお手伝いする予定があるので、本部市場も見られてよかった。

11/5

カメラマンの井上さんは少し早い飛行機で帰京。

津田さんとふたりで、好きな沖縄そば屋「すぅまぬめぇ」に行ったり、ファーマーズマーケットなどをのぞいたりしつつ、新しくなっていた牧志の市場で買い食いなどして帰った。

11/6

アリス館・山口さんと打ち合わせ。

11/7

藤子・F・不二雄先生の『未来の想い出』特装版のざしきボーイフィギュアの箱入稿。

講談社・大野さん、佐内正史さん、山本光恵さんと美松堂さんへ。

写真集のテスト校のチェック。

そのあと小学館へ。

沖縄で買った月桃の葉をお風呂に入れてみた。

月桃の匂いが大好きで、市販の月桃のバスソルトも好きなので、どんなに素晴らしいことかと楽しみにしていたが、ほとんど匂いがせず、お湯に浸かりながら折ったり揉んだりもしてみたけれど、もう買うことはないだろうな、と思った。

11/8

三菱一号館美術館さんの事務所へ行き、ビアズリー図録の色校。朝日新聞さん、青幻舎さん、印刷所さんも勢揃い。

本物がまだないので皆で相談しながらひとつずつ確認。

そして今日は板橋区立美術館にて、レオ・レオーニ展オープニングなので、時間内に辿り着けるかハラハラしていた。

解散とともに、同席していた青幻舎・古屋さんを車に乗せ、17時までなのに、16時40分に滑り込み。

松岡館長のお話が聞きたかったけれど、聞けなくて残念。

でもご挨拶とお礼は伝えられてよかった。

また来よう。とても素晴らしい展示だった。

そのあと講談社・斎藤さんのところで石井ゆかりさん『星占い的時間』と木下龍也さん『すごい短歌部』色校。

席にいた見田さんや堀沢さんたちともおしゃべりできて、楽しかった。

夜、20時すぎから水鈴社・篠原さんとご飯打ち合わせ。

疲れているようだ…。

彼はこの後まだ約束があるという…。倒れませんように。

11/9

ベランダの南国生まれたちをやっと室内へ。

午前中に仕事をしたが、基本的には今日はもう何もしないと決めた。

また癒されに吉祥寺のコピスへ行った。

5階はほんとうに(私にとっては)パラダイスで、シルバニアファミリーをじっくりみて、とうとうペルシャネコの女の子に手をだし、言われるがままにくじまで引いてしまい、

300ピースのオールドシルバニアのジグソーパズルまで買ってしまった。

カルディを見て、美味しそうな外国のチョコレートを買って帰る。

ジグソーパズルをし(1時間41分)、「怪盗グルー月泥棒」を観て、一日が終わった…。

11/10

ゆるくゆるく片付けをし(まだまだ足りないが)、今日は「怪盗グルー危機一髪」を観た。

グルーんちの子供部屋の壁に、リラックマのポスターが貼ってあり、思わず写真をとってクマの作者に送った。

11/11

チンアナゴの日。

2019年から作っているヒグチユウコさんの手帳には、この日だけ毎年「チンアナゴの日」と絵も添えてある。「クリスマス」すら書いてないのに。

午前中、PLAY! MUSEUMの人々とオンライン打ち合わせ。

午後、美容院へ。

穂村さん夫妻とご飯を食べて帰る。

11/12

ジムへ。

会ったことのある猫のかなしい報せがあったので、花を持って猫に会いに行った。

かなしくて、本当にさみしいけれど、与えてくれたものの大きさを思う。

夜、藤子プロさん、小学館ドラルームさんとご飯。

真夜中にヒグチさんと電話をしながら、クロアチアの地球の目やら、アイスランドのエレファントロックやら、世界のいろんなところを検索しあって(画面上で)旅をした。

11/13

福音館書店・中村さんと打ち合わせ。

大修館書店・中村さんと打ち合わせ。

中村さんにしか会っていない日。

11/14

河出書房新社へいき、渡邉さんと森見登美彦さんの『竹取物語』文庫打ち合わせ、そのあと、竹下さんとイーユン・リー『水曜日に生まれた子ども』打ち合わせ。

夜、小学館児童出版文化賞贈呈式へ。

ザ・キャビンカンパニーさんの『ゆうやけにとけていく』がまた受賞したのだった!

打ち上げでは祖父江慎さんにも会えて、とても楽しい夜。

11/15

建て替え前の国際ビルの撮影へ(仕事)。

古いビルは細かなところが凝っていて、とてもかわいい。

愛されていた姿を残すのはいいことだなと思った。

最近の名久井さん

祖父江慎さんに「締め切り遅れたらダメよ〜」と言われた。

祖父江慎さんに。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。