コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第48回

1月の日記(後半)

2025年4月30日掲載

1/16

午後から板橋区の印刷所にて、佐内正史さん写真集の印刷立会い。

駐車場に並ぶ佐内さんの黄色い車と、わたしのミントグリーンの車。そっと写真を撮った。

印刷立会いは待ち時間も結構あり、おしゃべりもしたりする。

サイゼリヤの間違い探しがみんな好き!ということが発覚し、サイト上にある過去問に集中した。

他の話題は「コパイバマリマリの飴」「津田梅子さんのお札のこと」など。

終わってからばたばたと講談社へ。お芝居の稽古終わりの矢部太郎さんとモーニング編集さんと21時から打ち合わせ!

1/17

とある絵本の万博用の帯のラフ。これを巻かないと置いてもらえないというやつらしい。

日帰りで雪の山形へ。扶桑社・田中さんという、わたしの知り合いの中でもおいしいものハンターランキングに入る方が、「山形へランチに行きませんか」と誘ってくれたので、これは逃してはならないやつだ、と思い、即答していたのだった。

PCとともに飛び乗った新幹線。出羽屋さんというお店で、シェフズテーブルは予約を取るのはむずかしいところ、とのこと。

すばらしい時間…。厨房の周りを囲む木のカウンター、厨房の後ろには大きな窓に降り積もる雪。

きれい…おいしい…きれい……おいしい…のエンドレス。忘れられない1日となりました。

1/18

おやつどきからゆるゆると、チュンコ邸にて、100%ORANGEまゆこさんとご飯。

昨日もあんなに美味しいものを食べたのに、また今日も全てが美味しい。

1/19

昨日「今ほしいもの」の話になり、「ポン!と上に出るトースター」と答えてから無性に欲しくなり、そういうおしゃれなやつなら蔦屋家電だろう、と二子玉川に行くもあえなく玉砕。

でももうこの思い抑えきれない!と秋葉原のヨドバシカメラ(とても大きい)まで行って、無事にかわいいトースターゲット。食パンも買って、無事にポン!した。

1/20

河出書房新社の雑誌「spin/スピン」の原稿提出。

『ペンギンのトビオ』(斉藤倫・うきまる著)こまごましたもの入稿。

常盤貴子さんの本のラフ。

森見登美彦さん訳『竹取物語』入稿。

午後、主婦と生活社・芹口さんと燃え殻さんと打ち合わせ。

燃え殻さんは、前にちらとご挨拶をして以来の久しぶり。

1/21

岡本真帆さん『落雷と祝福』本文。

グラフィック社にて、『大倉トーイ・コレクション』撮影。

物撮りはすごく好きで、しかも可愛いので、並べるのが楽しい。

1/22

しらとあきこさん『なんで なんで?』入稿。

午前中、マームとジプシー・藤田貴大さんたちと打ち合わせ。

夕方から美容院へ。

1/23

井戸川射子さん『移動そのもの』資材決定。

白泉社へ行き、MOEの付録のミッフィーシール打ち合わせ。

夜、チュンコ先生と焼き鳥を食べた。

1/24

もう何をやっているかわからないくらいいろんなことをしたのでメールを遡ってみると…『スターニャン』『僕には鳥の言葉がわかる』『ドラえもんBOX』『文月悠光さん詩集』『笹餅おばあちゃん』『MOEクリアファイル』『なんで なんで?』のやりとりラリーが並行してあった。

夜、長嶋有さんと小学館・徳山さんとご飯。

神保町にある秋田料理の店で、遅刻したわたしが店に入るなり黒板を見て「ミズください」と言ったら、「あなたどこの人?」と聞かれた。たぶん「ミズ」の発音のせいだろう(ミ↓ズ)。

ギバサやハタハタやとんぶりなども堪能。最高だった。

そして二人の話は当たり前に楽しいので、これは入場料を払いたいくらいだ、と思った。

1/25

お気に入りのポットが割れてしまって、そのカケラを植えたらポットが実のようになった。

こころなしか小さくなっていて、それは植えたカケラの分かなと思う。

爽健美茶がキッチンをリフォームしてくれるという。

なかなか細かなところまで気の利いた図面で、ほほうと思っていると、仕上がりのイメージをPCでみせてくれた。

完全に爽健美茶の色と模様で、「あなたそのものじゃないですか!」と言って断った。という夢2本立てを見た。

講談社・あんちゃんちへ、まるちゃんと子猫を見に行った。

子猫はとてもビューティフルでフレンドリー、たこ焼きはデリシャスだった…。兄猫もファンタスティックだった…。

(猫がこのくらい洋風だった)

1/26

三菱一号館美術館へ「再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」の最終日に滑り込み。

実はソフィ・カルが目当てだったのだけれど、ロートレックのいろいろに感動。この二人を合わせた展示というのも素晴らしかった。

ソフィ・カルは本もたくさん見ているし、原美術館の展示で大感動したこともあるのだけれど、なんかちがう、と思える点があり、それは美術館や作家のせいではなくて、展示技術の向上とか、こちらがわの「慣れ」みたいなものとか、そういうことに依る気がした。

めずらしくいろんなことを考えながら帰宅。

1/27

「ちくま」入稿。

『モナのまなざし』(トマ・シュレセール著・清水玲奈訳)蛇腹の部分ラフ。

たくさんのふしぎ『パイナップルに見た夢』本文ラフ。写真絵本ってこんなに楽しいのか!と初めてわかった気がした。

小学館へ行き、編集・竹井さんと『僕には鳥の言葉がわかる』の著者・鈴木俊貴さんにお会いした。

鈴木さんのお話はとてもとても楽しく、本もとても面白いのだけど、余りあってご本人が面白い。

「いつか(装画を描いた)100%ORANGEさんとバードウォッチングに行きましょう」と言われ、ばかな私は「いつ頃がいい季節なんでしょうか」と質問してしまい、「一年中ですよ!」と強い答えをいただいた。当たり前だ! 鈴木さんにとっては年中鳥パラダイス…。

早川書房さんと『フォース・ウイング2』打ち合わせ。日本版はいろいろ制約があって、本国の通りにいかないのが少し悲しい。

燃え殻さんとイラストレーターの小川悟史さんと主婦と生活社・芹口さんと打ち合わせ。

1/28

キューライスさんの絵本『あっゴジラ』ラフ。

『文化の脱走兵』(奈倉有里著)増刷帯。めでたい。

旅先のトルコにいる歌人の千種創一さんと、短歌研究社・水野さん&国兼さんとzoom打ち合わせ。

千種さんはホテルにいるらしく、王族のようなソファに座っていた。

1/29

ピーターラビットの何かの作業。

主婦と生活社・立道さんと何かの画集打ち合わせ。

夜チュンコ先生の家でご飯。今日は食べたいものの賞味期限の関係で急にご飯会になった。

水鈴社・篠原さんから夕方に「今日の夜打ち合わせできますか」とメールが来たので、「今日の夜は津田さんちでご飯なんですよ」と答えたら「僕も行ってもいいですか」という予想外の答えがきたので、篠原さんもやってきた。

猫接待してもらって、ご満悦だった。

1/30

ティモンディ・前田さんの『自意識のラストダンス』表1だけラフ。

市原湖畔美術館のパネル作成。

左右社に色校を見に行き、講談社・小林さんと『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子著)文庫打ち合わせ。

ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

水戸部功さんがB&Bの鈴木成一さんの授業でゲスト講師をするというので、拝聴しにいく。

いい先生だ…。終わった後、アルビレオさんたちとご飯。

1/31

『テリーヌの夢』(藤本玲未著)ラフ。

マームとジプシーに新しい公演のロゴを送る。

井上涼さん『びじゅつでござる』色校戻し。

『僕には鳥の言葉がわかる』帯を作り、『大倉トーイ』ラフ、燃え殻さんの本のイラストレーターさん用のラフ。

夜は豊崎由美さん『どうかしてました』の打ち上げ。

豊崎さんと編集の河井さんと、絵を描いてくださった犬ん子さんと、ただただ楽しいだけの宴をした。

最近の名久井さん

「連休前」の線引きがひとそれぞれということがわかりました。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。