コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第45回

12月の日記(前半)

2025年3月15日掲載

12/1

『ハリー・ポッターと賢者の石』出版25周年記念のパーティに呼んでいただいた。

ハッフルパフのマフラーをしていったのだが、誰にも気づかれず。

久しぶりの方や、仕事はしていたのにはじめましての方などに会えた。

パーティの後は舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』へ。

キャストも入れ替わったりしつつの大ロングラン公演。

いまだに満員の席にびっくりしたけれど、これは満員になるわ、と帰りには頷いた。

これから観る方もいると思うので、書けないけれど、アレが怖くてたまらなかった。

村田沙耶香さん『世界99』の表紙の作品を選んだ。

12/2

彩瀬まるさん『嵐をこえて会いに行く』ラフ。

朝日新聞出版・安田さんと岡本真帆さん『落雷と祝福』打ち合わせ。

橋本倫史さんと『2024年の本部町営市場』打ち合わせ。

橋本さんは丹念にいろんな人々を記録していて、それはいつか、本当に貴重なものになると思う。

12/3

『ブラック・スワンズ』(イヴ・バビッツ著・山崎まどか訳)全体のラフ。

里山社・清田さんと色校打ち合わせ。

佐内正史さん事務所にて写真集打ち合わせ。

福音館書店の「ちいさなかがくのとも」の冊子のフォーマットを2009年に作っていて、ちょこちょこ更新はしていたけれど、久しぶりに大きめの改訂作業。

12/4

ヨシタケシンスケさんとBluesheepさんたちとzoomうちあわせ。

先の話だが、すぐやってきそうな何かについて。

マガジンハウス・大島さんと楽しそうなピアノの本の打ち合わせ。

小学生の時に習った以来弾いてないけれど、この本を見たらまた弾けるかもしれない、と思わせる本。

習い事はあまりやらなかった人生だが、ものすごく小さい頃、水がこわくて顔が洗えず、やばいと思った母親につっこまれた水泳教室があった。顔が洗えるようになったら、連れて行かれなくなったが、小学生になって、近所にできたスイミングスクールにみんな通い始め、わたしも青いバッグが持ちたくて、行かせてもらった。

みんな最初は同じ色の帽子だったのに、隣の家の同級生とその弟にあっさり先を行かれ、どんどん帽子の色が変わっていくのを見ていたなあ、と急に思い出した。わたしの先生はお腹に大きな傷のある男性で、今思えば手術の痕なのだろうけど、当時は殺されかけた人なのだと思っていて、異様に怖かった、ということまでついでに思い出した。

ヒグチユウコさんのMOEカレンダーの色校戻し。

『藤子・F・不二雄のいた風景』打ち上げ。

12/5

集英社にて長めの何かの打ち合わせ(まだ何も書けない)。

12/6

ジムへいき、ピーターラビットの何かの打ち合わせ。

マンションの前の銀杏並木の落ち葉がすごくて、黄色いカーペットがとてもうつくしい。

銀杏並木が年々好きになってきていて、自分でもおかしいなと思っている。

並んだ銀杏の木がろうそくの炎のように見えて、

巨大なバースデーケーキの上に立っているような気持ちになる。

12/7

チュンコ先生宅で100%ORANGEまゆこさんとご飯会。

栗クリームをさっと焼いたパイにのせられてやばかった。

おこわは肉と筍。

12/8

神奈川県立図書館にてトーク。

直接自分が売っているわけではないが、本を売って生活をしているので、図書館で話せるだろうか、と考えていたが、子どもの頃はとてもお世話になったし、図書館から書店に繋がることもあるだろうと引き受けた。

到着すると、担当した本がたくさんあり、つい最近作ったものから、もう15年くらい前のものも同じように並んでいて、なんだか感動。

元々の図書館の建物は前川國男建築だったそうで、隣にそのまま残されつつ、数年前に新しく建てられた本館も、響きあうような美しさだった。

書架も落ち着いていて、見やすく、たくさんの人々が書架のそばに座って本を読む姿がよかった。

キャスター付きの本を運ぶワゴンがとてもよく見え、販売サイトを教えていただいた。

12/9

ジムへいく。あとはずっと家で仕事。

12/10

ダイヤモンド社・日野さんと打ち合わせ。

佐内正史さんと印刷所にて色校。

ヒグチユウコさん『FEAR』5刷作業。

この画集は二人で作っているもので、実は増刷ごとに数ページずつ変更されて、育っている。

12/11

彩瀬まるさん入稿。

光文社・須田さんと打ち合わせ。

小川洋子さん『遠慮深いうたた寝』文庫のラフ。

単行本は、上出惠悟さんに陶版を焼いていただいた。

文庫になるときは小皿のような陶版をまた焼いていただきたい…と思っていたのだが

文庫の予算はあまりなく、単行本の踏襲デザインに。でもかわいい。

12/12

平凡社・林さんと打ち合わせ。

KADOKAWA・大野さんと2冊分打ち合わせ。

『僕には鳥の言葉がわかる』色校戻し。

とある絵本の打ち上げ。なごやかおいしく。

12/13

『僕には鳥の言葉がわかる』本文作業。

美容院へ。

12/14

チュンコ先生とTKと福岡へ。

大好きな鰻屋さん「富松うなぎ屋」さんにこれてとてもうれしい。おいしい。

12/15

「つまんでご卵」という話題(らしい)卵をチュンコ先生が買っているのを横目で見た。

メダカの産地でもあるようで、時間が空いたので寄ってもらった。ついつい購入。

午後帰京。着陸前、しばらく飛行機の外部カメラを見ていたら、

ふとこれは、自宅近くを通るルートではないかと思い、確認しようと携帯電話でビデオを撮った。

帰宅して、コマ送りにしてみると近所に唯一ある大きなビルに隠されていて見えなかった。残念!

旅の帰りはいつもだけど、早めに帰るとその日がまだまだあってとてもよい。

最近の名久井さん

2月の短さがまだわたしを苦しめている気がします…。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。