コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第9回

6月の日記(前半)

2023年9月15日掲載

6/1

ピーターラビットラフ。7巻と15巻。だいぶ後半にきたなと思う。

午後、めずらしい仕事。

NHK新書さんから、奥定泰之さんとジュンク堂池袋で、新書のデザインをみながら話してほしいとのこと。

楽しそうなので引き受けたのだった。

新書や選書はほとんど買ったことがなく、仕事でも担当したことがなく、区別もつかなくて未知の領域。

ジュンク堂池袋の副店長さんや、NHK新書さんの説明、講談社メチエを担当している奥定さんの解説で、とても堪能。

新書はむずかしそうな本ばかりというイメージだったけれど、奥定さんが「新書は専門書に入る前の入り口みたいなもの」とおっしゃっていて、たしかに見ていくとそんな感じ。意外と下世話なものもあり、背を見ているとテレビ番組のようだなと思う。

表参道で用事をすませ、GYREの上のeatripでチュンコ先生おすすめの餃子の皮(邦栄堂製麺所)を購入。

6/2

大雨の日。

大雨だが、どうしても法務局へ行かねばならず、がんばっていく。

書類に不備があったのだった…。目の前で直させてくれて、ありがたし。

手書きでどんどん書かれたり消されたりして、書類がどんどんワイルドになっていく。

体裁ではなく内容なんだな、と感じ入る。

夕方、ほぼ日さんで、夏に渋谷パルコのほぼ日曜日で開催の「コンドウアキのおしごと展」打ち合わせ。

こまかなことを決めていく。

はじめましてのほぼ日デザイナーさんは「直子」さん。

直子同士の名刺交換をする。

直子は意外とまわりに多く、ぱっと思いつくだけでも5人はいる…。

大雨なのに(何度でも書くくらいの大雨)、小学館・今本さんとデザイナーの脇田あすかさんと会合。

藤子・F・不二雄先生のお仕事チームがつながった感じでうれしかった。

6/3

さぼりまくった洗濯や掃除をし、お昼寝をし、そうだ、餃子しなければ、と中身を揃えにスーパーに行っただけの日。

餃子の皮は大変おいしく、皮が美味しい!と思ったのは初めてな気がする。

また買おう。テレビで「海街diary」の映画をやっていて、ついつい漫画の方を読んでしまった。

(どちらも違ってどちらもいい)

6/4

とても寝たのにとても眠く、大半は寝てしまっていた気がする。

友人が猫の譲渡会に行ったけれどうまくいかず、といった話を聞いたり。

6/5

MOEで連載中のヒグチユウコさん「いじわるねこ」ラフ。

『続 窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子著)本文フォーマット。

『訂正可能性の哲学』(東浩紀著)ラフ。

いつもの歯医者さんへ。

このところ定期的に歯医者さんへ行っているのは、治療ではなくメンテナンス。

もともと歯医者がだいすきで、虫歯の一つでもキーンと工事されたり、親知らずを抜いたりしたいのだが、歯医者さんすき→いきたくなる→メンテナンスされちゃう→虫歯から遠ざかる、の負のスパイラル(陽のスパイラルとも言えよう)になっている…。

淡交社・土屋さん、著者の関亜弓さん、イラストをお願いする中島ミドリさんと打ち合わせ。

夕方遅く、小学館へ。SF短編3巻の表紙の箔校正。

きれいにでていてうれしい。

明日、人と会う予定がなくなったことに気づき、こころに余裕ができてしまい、がまんしていたタクティクスオウガ・リボーンをダウンロードしてしまう。

登場人物みんなしゃべるしゃべる。リボーンを感じる。

6/6

撮影かもと空けていたのだけれど、行かなくてよくなって、家で粛々と仕事。

6/7

「コンドウアキのおしごと展」のチラシラフ。

ミシマ社・三島さんと打ち合わせ。進行中の本の絵の件など。

マガジンハウスにて、Mさん、そしてMさん(まだ書けない)と新刊打ち合わせ。

祐天寺のMargoでご飯をたべる。とてもたのしい夜だった。

6/8

午前中、白泉社へゆき、「ゆめぎんこう」(コンドウアキ著)ふろくの色校。

そのまま小学館へゆき、小学館のパスの撮影。

パスをもらえたら、もう面倒な紙を書かずに入館できるのでうれしい。

夕方から、福音館書店・北森さん打ち合わせ。

『たくさんのふしぎ』の「食べる」の号について。

わたしは関係ないけれど、今度、羅臼昆布の取材に行くと言っていてうらやましかった。

6/9

朝、ボリス雑貨店にてSさんと打ち合わせ。

ジムへゆき、夕方からは毎月恒例美容院。

6/10

朝から羽田空港へ向かい、台北へ。

徹夜で仕事をして、パソコンはなんとか持たずに済んだ。

前に台北にいたときに、ちょうど「令和」に名前が決まったニュースを見たので、5年ぶりか。

今回はモギさん(モギさんも直子だ)に誘っていただいたのだが、昼間はフリーで夜だけ大勢で集まって中華を食べようという素敵な企画。

着いて早々昼ごはんから楽しむ。

夜ご飯もすばらしく楽しむ。

何度も行ったことのあるレストラン(人和園)でも、くわしい方(なんと青木由香さん)がいるといないとでは大違い…。

そして大勢で食べる中華は本当にすばらしい。

6/11

朝はだいすきな素食包(極品光復素食包子)を食べ、小さな本屋などいくつか来訪。

誠品書店が、なんというか、書店というには、本の成分が減っているような。

ふらりと入ったオープンしたてのアンティークショップで、気になるドライフラワーがあり、ぎこちなく聞いていたら、ひとつくださった。

ちいさな花瓶も買って、持って帰ることにする。

夜はそれはそれは素敵なご飯(豐華小館)だった。

羽田空港での、飛行機の接触事故で来るのが遅れていた方も合流。

はじめましての方がいても、まわるテーブルがあれば、すぐなじむ気がする。

6/12

朝ごはんはモギさんからおすすめされた燕山湯円へ。

なんておいしい…。またぜひ行きたいリストにいれる。

その後、お茶やさんへゆく。お気に入りの店だったのに、なんとなく空気がわるくなったような。

午後の便で帰京。ドライフラワーも紙コップに守られ無事に到着。

仕事に追われる。

6/13

早川書房へゆき、ピーターラビット色校。

白泉社へゆき、ゆめぎんこう色校。

小学館へゆき、SF短編3巻のもろもろ校了。

6/14

SF短編4巻そとまわりのラフ。

夜、越前のお館さまと、チュンコ先生と、水鈴社・篠原さんとごはん。

不思議な組み合わせになったが、たのしく。

6/15

SF短編5巻メタルプレートのラフ。

『アンダイング 病を生きる女たちと生きのびられなかった女たちに捧ぐ抵抗の詩学』(アン・ボイヤー著/西山敦子訳)入稿。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。