コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第22回

12月の日記(後半)

2024年3月31日掲載

12/16

ずっと家。

排水管工事は休みだが台所に穴は空いている。

12/17

「風景を美しく思う心が日に日に増していくんだけれども、これは寿命と関係しているのかな。」

とナオコーラさんがXに書いていたので、「同じこと思ってた!」と返信をしたら

「やはり! 私は風景から「さよなら」を言われているのかと思いました。」

という美しい返事。

12/18

藤子・F・不二雄先生、SF短編10巻のこまかな色校戻し。最終巻…。

コンドウアキさんの絵本(まだ言えない)のラフ、ピーターラビットのラフ。

グラフィック社、小学館へ行く。

12/19

井上佐由紀さんのスタジオで、朝から水戸部功さんと撮影。

3月からの竹尾での展示のために図録を作るのでその撮影だった。

(未来のわたしがこんにちは。ただいま竹尾見本帖本店にて展示開催中。4/12まで!)

お昼は近くにある細山田事務所さんが経営しているカフェへ。

とにかく本を撮った。終わり頃、水戸部さんが遠い目をしている気がした。

12/20

昨日に引き続き、朝から水戸部功さんと本の撮影。

水戸部さんの本は写真の撮り甲斐があって、すごく楽しい。

格好いい写真になった。

夕方遅めになんとか終えて、夜はmargoにて同い年のKさんとご飯。

12/21

グラフィック社にて王子エフテックスさんと年末のご挨拶。歳末感…!

早川書房・溝口さんと間宮改衣さん『ここはすべての夜明けまえ』打ち合わせ。

ミシマ社さんと、青山ゆみこさんの本の打ち合わせ。

12/22

早川書房・窪木さんがピーターラビットの色校を持ってきてくれる。

講談社にて佐野洋子さん『ぺこぺこ』打ち合わせ。

夜はNHKエデュケーショナルのKさん、Hさん、歌人の岡本真帆さん、ナナロク社・村井さんとご飯。

不思議なメンバーだけれど、毎年開催されそうな気配。

明るい人々に囲まれて楽しかった。

外ご飯が多いのも年末を感じる。

12/23

ずっと担当しているアパレルブランド、overlaceのカタログ入稿。

夜、おいしい焼き鳥屋さん・波多野にてチュンコ先生、TKとご飯。

12/24

クリスマスイブは毎年すき焼きを食べると決めている。

伊勢丹でいちばんいい肉を買うのだ。

鶏肉コーナーやローストビーフはものすごい混雑だけれど、牛肉コーナーは空いている。

しかし寄る年波には勝てず、いちばんいい肉を1枚、ロースを2枚が今の所のベスト。

こういうことは5年日記の去年のわたしが教えてくれる。

「もう一番いい肉じゃなくていいかも。」と今年は付け加える。

一昨日ご飯を食べたKさんが、

「明後日のすごい食事会にケーキを買っていく係になったが予約もできていない」

と言っていたのが脳内から離れず、勝手にずっとハラハラしていて、伊勢丹の地下で千疋屋のケーキの列がわたしの前でスコン!となくなった時に、Kさんに電話して、突如ケーキサンタに。無事Kさんに送り届けることができた。

今日と明日しかほぼ使えないクリスマスのLINEスタンプを送る。

台湾で展示準備しているヒグチユウコさんと少しLINEをする。

そばにいるみたいで、本当にすごいな。

若い頃、海外出張していた時に、コンビニエンスストア的なところでパソコンを時間借りして、

フリーメールから、アルファベットで「OTSUKARESAMADESU」などと会社に報告を送っていた頃から遠くまできたなあと思う。

12/25

藤子・F・不二雄先生、SF短編10巻ケース色校戻し。ちょっと直すことに。

もうすぐ手が離れてしまうなあというさみしさ。

ぐったりしたなあと思って数えたら、送った仕事のメール35通。

なぜか今日に限って何時までという細かな締め切りのものがおおく、

崩れそうな橋を渡るカリオストロの城、

崩れそうな線路を走るラピュタ、

崩れそうな階段を駆け上がる千と千尋、

などをずっとイメージしながらすごす。

夕方からの偕成社・丸本さんの打ち合わせに大遅刻。

今年最後にして(たぶん)最悪の遅刻をする。

帰宅してまた崩れそうな何かの上を走り続ける。

年末はコアラ日記は更新されないだろうと思ってのんびりしていたら、更新があると担当さんからメールがくる…。

12/26

コンドウアキさん絵本の修正をやり、山﨑おしるこさん『だんごむしまつり』絵本の打ち合わせをオンラインで。

ブロンズ新社へ行き、そのあと水鈴社・篠原さんと打ち合わせ。

12/27

NURO光の工事が入る。

NUROになるということは、フレッツ光を辞めるということで、その手続きがひどかった!

あまりにひどかったので記しておきたい。

(ネットで簡単に解約ができる条件の人は関係ないのだが)

ネットで解約ができない

問い合わせの電話番号は書いていないが、調べまくると見つかり、かけるが、機会音声で何を選んでもネット解約に誘導されておわり。

オペレーターにつながる選択肢はない。

チャットで質問(そのチャットも、PCからではできず、携帯電話からしか繋がらない)

そのチャットにより、「問い合わせ番号の機械音声の質問を2回続けて無視して待つとオペレーターにつながる」

とわかり、やっと解約ができた…。なんだそのRPGの難しいのみたいな解決方法は…。

ちなみにネットで簡単に解約できなかったのは、わたしの名字のよみがなが先方で正しく登録されていなかったから…。

そんなやりとりの後にぐったりしつつ、福音館書店・北森さんと打ち合わせて、こころが持ち直し、藤井亮さんの本の打ち合わせをオンラインにて。楽しくなって終了。

12/28

青山ブックセンターのイベントで、浅生鴨さん、津田淳子さん(チュンコ先生)、と本を売りまくる。

好きな本を紹介し、売り場をお客さんと歩いて、みんなで本を書いまくるいいイベント。

夜、津田さんとご飯を食べて帰る。

12/29

午前中、マガジンハウスにて大島さんと『Wピース』(中居正広・劇団ひとり・古市憲寿著)打ち合わせ、その後近所の水戸部功さん事務所へ行き、図録をレイアウトする合宿! 水戸部さんは風邪をひいていてかわいそうだった。

素敵な事務所で作業ができて捗った。

先に終わったわたしは、水戸部さんを置いて帰宅。

12/30

早朝から、毎年恒例チュンコ家の本気餅つき。

一年で一番楽しみにしている日。

割烹着を着て、今年も餅をのしまくった。

餅をのす才能だけはあると感じている。

今年の米はやや炊くのに時間がかかり、いつもより遅めの終了。

餅つきでしか会えない人々にも会えて、これでわたしの一年が締め括られるという気持ち。

12/31

午前中、昨日ののし餅をカットし、その後伊勢丹へ。お雑煮の材料や伊達巻などを買う。

お雑煮だけは18歳で家をでてから毎年作っている。

鶏で出汁をとりつつ、Eテレの2355を見ながら年を明け、たなくじをひいたら太田さんだった…。


最近の名久井さん

展示「BOOKS 水戸部 功×名久井直子」開催中です! 4/12まで!
https://www.takeo.co.jp/exhibition/mihoncho/detail/20240304.html

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。