コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第23回

1月の日記(前半)

2024年4月15日掲載

1/1

家から一歩も出ず、お雑煮を食べたり餅を食べたりした。

年賀状を1通も出していないのに、いただいたものを見る楽しさを味わっていて、毎年背徳感を感じている…。

今年から、ちょっとあこがれだった手帳を導入。

日記代わりに書いてみる。

1/2

ジャムの瓶を買いに、わりと近所のダイソーへ。

久しぶりに行くと、なんだか楽しくなってしまい、いろいろ散財してしまう。

『アイアムグルート』をにこにこしながら観た。

1/3

一歩も外に出ず、年末にチュンコ先生からもらっていたベルガモットでジャムを作る。

5瓶できた。

1/4

いつもよりゆっくりと仕事始め。

『レベッカの見上げた空』入稿。今年初入稿。

小学館・今本さんのお宅へ、使わなくなったワゴンをもらってくれるというのでお届け。

すてきなピンバッチをいただき、ほくほくしながら東急ハンズに寄って帰る。

夜ご飯はシチュー。

いつぶりかわからないくらいにマリオカートをしたら、バナナで転びまくった。

夜中にドン・キホーテに行く。

ドン・キホーテに行くと、いつもちょっとワルになった気持ちになる。

1/5

今年初ジムへ。

今年初打ち合わせは、講談社・堀沢さん。

くどうれいんさんのエッセイ集『コーヒーにミルクを入れるような愛』打ち合わせ。

1/6

大学の研究室に課題を置きっぱなしにしているから20何年かぶりに取りに行くという夢を見る。

なぜか夜忍び込むと、灯りがついている教室がたくさんあり、同級生の顔も見えた。久しぶりに会うIくんに何か話しかけねばと、

「そうそう、グループ課題で、IくんとEちゃんが住んでいる部屋にみんなで行ったの覚えてる? EちゃんのMacがいちばんいいやつだったから、みんなで自分の家のMacからメモリを抜いて持ち寄って、EちゃんのMacにいれたんだよねー」

と、何年も忘れていたことがスルスルと出てびっくりした。

ひさしぶりに、自分のファーストMac、Centris 660AVのことを思い出す。

使われていない教室は本屋さんになっていて、夜の中、きらきらと本が並んでいた。

夕方、今年初のボリス雑貨店。

ひさしぶりにヒグチユウコさん、今井昌代さんに会えて、なでまわしたい気持ちに駆られたががまんした。

チャンキーさんや犬ん子さんにもお会いでき、縁起のよい感じ。

辰年ということで、辰の描かれた作品も多く、年女として、とても楽しんだ。

1/7

夜に穂村さんちへ遊びにゆく。

今年初穂村さん。

1/8

ヒグチユウコさん「日々の綿」入稿。

眼鏡屋さんに、先月購入していた人生初のサングラスを取りに行く。

1/9

福音館書店・草場さん打ち合わせ。

1/10

加藤千恵さんの文庫本文をやり、ジムへ。

夜、水鈴社・篠原さんとご飯。

1/11

『Wピース』(劇団ひとり・中居正広・古市憲寿著)ラフ。

今年初早川書房へ。北澤平祐さんと打ち合わせ。

間宮改衣さん『ここはすべての夜明けまえ』は、めずらしくデザイン先行をして、隙間に絵を描いていただくことにした。

東直子さん本文をレイアウト。

1/12

小林エリカさん『彼女たちの戦争 嵐の中のささやきよ!』カバーラフ提出。

遅れまくった。筑摩書房・山本さん、すみません…。

夕方からテレビ朝日にて、劇団ひとりさん、中居正広さん、古市憲寿さんの撮影。

1/13

ずっと仕事をしている悪夢を見ていて、握り拳を作っていたようで、起きたら手のひらが痛く、肘も痛かった。熱がでていたようだ…。

1/14

国立新美術館でデザインミュージアムジャパン、トーク。

登壇者は片岡真実さん、小池一子さん、竹谷隆之さん、永山祐子さん、わたし、という消え去りたいようなメンバー!

永山さんだけ初めましてでご挨拶。共通の知人もいるのでうれしい。

小池さんにお会いすると、心はムサビの学生に戻ってしまい、憧れの気持ちでじろじろ見てしまうのだが、ISSEY MIYAKEのお洋服が可愛く、真似をさせていただこう…と思う。

イベントをのりこえ(みなさんの話を聞いていただけのような気もする…)、渋谷駅の不便さをのりこえ、パルコへ寄ってオートモアイさんの個展へ。

オートモアイさんは、SUPER BEABER・渋谷龍太さんの本の装画を2冊描いていただいていて、近作の方の装画の原画もあり、素敵だった。

仕事でメールを出したりしていたら、即返事が書肆侃侃房・藤枝さんからきて、「こんにちは。」で始まるメールで慄いた。いま、夜中の12時だよ!

1/15

ナナロク社・村井さんが、ある人と作ったというすごい絵本が本当にすごくて、感動して、その感動を村井さんにしゃべりまくっているという夢を見たのだが、覚えている絵本は、全ページ排水溝の写真で、そこに、文字が吸い込まれていくというもの。

ぜんぜんよくない。村井さんごめん。

扶桑社・福田さんと藤井亮さんと打ち合わせ。オンラインではお会いしたけれど、初めまして。

夕方、美容院へいく。

最近の名久井さん

竹尾見本帖本店での展示が終わり、放心状態です。

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。