コアラ日記

この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第36回

7月の日記(後半)

2024年10月31日掲載

7/16

高瀬隼子さん『新しい恋愛』ラフ。

『ひふみん×もぎけん ほがらか脳のすすめ』色校戻し。

左右社にて『空き箱』(福永星著・高田祐里写真)色校。

どしゃぶりの中、自転車で帰る。

濡れないで歩くことよりも、移動時間を優先した自分が悪いのだ…。

7/17

角川春樹事務所・原さんと『あの日の風を描く』(愛野史香著)打ち合わせ。

午後、ホーム社・河井さんと豊崎由美さんのエッセイ『どうかしてました』打ち合わせ。

小学館にて、『藤子・F・不二雄がいた風景』打ち合わせ。

ついでに同じフロアなので、キューライスさん『ボンバルボンのおとどけもの』色校を戻す。

7/18

マームとジプシー「Chair/Il POSTO」のビジュアルラフ。

マームが持っている椅子たちの写真をもとに作ってみた。

午後、ほぼ日にて、奥野さんに取材を受ける。

なんと心地よく話されるひとか。

気づくとするする話してしまっていた。

帰りにばったり浅生鴨さんと出会った。

夕方、朝日新聞出版・池谷さんと打ち合わせ。

7/19

NHK出版・小湊さんと上野千鶴子さんエッセイ『マイナーノートで』打ち合わせ。

終わり際、りんどうの花束を渡され、「暑いですからね」と仰る小湊さん。

打ち合わせで! 花束をもらったのは! はじめてです。

小湊さんの仕事をがんばろう、と思った。

夕方から美容院へ。

ひさしぶりに穂村弘夫妻と一緒に並んで切ってもらった。

共通の知人・チャーミングなOさんも遊びに来て、ほがらかのんびり。

Oさんの持っていた日傘がとてもかわいくて、ラベルの写真を撮った。

DiCesare Designsさんのもの。

とてもアジアっぽい店で夫妻とご飯を食べて帰宅。

7/20

午後、2日連続の穂村さん夫妻.。

一緒にスーさん(suzuki takayuki)の展示会へゆき、かき氷を食べ、歩き、かき氷を食べた。

何年かぶりのかき氷だったし、一日に2つ食べたのははじめてだった。

(夫妻はかき氷がだいすき)

青山ブックセンターの夏の選書、遅刻して提出。

夜ご飯にでたら、帰りはどしゃぶり。ぬれねずみってこんな感じか。

いや、ねずみは服をきていないから、まだましなんじゃないか、など考えながら、重くなって歩いた。

7/21

ただひたすらにかこさとしさん(のかがく絵本のレイアウト)。

他にもいろいろ仕事をしたけど、ほぼほぼ、手が痛くなるほどかこさとしさん。

結局朝までかかった。

7/22

奈倉有里さん『文化の脱走兵』増刷帯の入稿。早い!

11日に刊行されたばかりなのに! うれしいことです。

すてきな絵はさかたきよこさん。

朝、グラフィック社へ。津田さん(a.k.a.チュンコ先生)、王子エフテックスさんとお会いする。

大島依提亜さんはzoomにて参加。

夜は何ヶ月か遅れの藤田貴大さん『T/S』打ち上げ。

東中野のキャラヴァン・サライにて。

はじめて食べるアフガニスタン料理。

著者の藤田くん、マームの古閑さん、装画のカシワイさん、編集の筑摩書房みっくんが集った。

帰りに、藤田くんと古閑ちゃんと、古閑ちゃんおすすめの荻窪のラーメン十八番へ寄った。

角田光代さんのサインがあった…!

7/23

睡蓮の花、そして今年初めてのハイビスカスの花が咲いた。

冬にあたためてしまったせいか、夏の到来が遅かったようだ。

午前中、もうれつに働く。

かこさとしさんのかがく絵本入稿、『たくさんのふしぎ となりにすんでるクマのこと』入稿。

夜は『発信する人のためのメディアリテラシー』入稿。

qpさんと左右社・塙さんとzoom打ち合わせ。

なんと喫茶店の水だけを写した写真集。

わたしもソフトクリームの看板を撮り続けているので、気持ちはとてもわかる。

qpさん、わたしが過去に仕事した、いろんな本をお持ちで、見せてくださった。

それがぜんぶ、自分でも愛着のある本でうれしい。

とくに、青木陵子さんの『ChainRing』は背をアルミ蒸着のタック紙で作ったカバーで、今見ても、よく実現できたなーって思う。

まさかの同人誌までお持ちで、びっくり。

(昔、長嶋有さん&柴崎友香さん&福永信さん&法貴信也さんと同人誌を作っていたのです)

その後3時間にわたり、とあるイラストの審査のzoom会議。へとへと。

7/24

『ゆめぎんこう もぐもぐのおるすばん』(コンドウアキ著)ラフ。

午前中、ナナロク村井さんが『一年前の猫』(近藤聡乃著)の色校を持ってきてくれた。

講談社に行き、斎藤さん、中谷さん、日下部さんと打ち合わせ。

夜、寄藤文平さんがパーソナリティを務めている「渋谷のラジオ」にゲスト参加。

寄藤さんの仕事場で収録だったので、キョロキョロと。とても楽しかった…!

寄藤さんとお話すると、寄藤さんの思考がすこーーしだけ見えて、楽しい。

終わった後は近くのバー。水戸部功さんを召喚し、深夜2時までおしゃべり。

録音しておけばよかったと後悔。

7/25

近藤聡乃さんのふろくシール入稿。

午前中、SCPにて打ち合わせ。

夜はひさーしぶりに、チュンコ先生と、シティ(TYPEFACE・渡邉民人さん)とご飯。

7/26

斉藤倫さん『私立探検家学園5』入稿。

午後・集英社さんと打ち合わせ。

7/27

チュンコ邸にて、100%ORANGE・まゆこさんとご飯。

TKが北海道で買ってきたばかりのさくらんぼ、うなぎのおこわなど、舌鼓打ちっぱなし。

7/28

知人のお見舞いへ行くと、寝ている知人は布団もかけずにベッドに横たわっている。

白地にネイビーの細かな水玉のパジャマを着ているが体のわるいところだけ水玉が大きくなっており、密度も増していて、怖くなってそのまま帰宅した。

という夢を見た。

訳あって、長嶋有さんのマンションへ行った。時間が経っているけれど、とても趣のある素敵なところ。

マンションのプールサイドで打ち合わせをするという、なんだか華やかな感じ。

子どもたちがマイビーチボールやマイサメなど持っていて微笑ましい。

長嶋さんのお子さん(小1)やその友達が、「カレーライス」というジャンケンのようなものをしていて、教わる。

あいこになったら「水!」と速く言わなければならない。

7/29

夢の中はもう冬。

誰かの別荘に行かせてもらうことになり、ついていく。

別荘の小屋のまわりは池や川みたいなものに囲まれていて池はもう部分的に干上がっている。残った水のところに魚。

手すりに知らない鳥が巣を作っており、そっと通り過ぎた。

冬の夢を見たのは暑かったからかもしれない。

日本絵本賞表彰式。

担当した、ザ・キャビン・カンパニーさん『ゆうやけにとけていく』が大賞受賞だったので、わたしも参加させていただいた。

キャビンさんたちとは初めまして。

大分在住のお子さん(小2)は「カレーライス」は知らなかったけど他にいろいろ手遊びなどおしえてくれた。

CCレモンという複雑なものも教わった。

アルプス1万尺は子どもの頃にやっていたけど、もう3万尺になっていた。

お寺のおしょさんがかぼちゃの種をまきました、の後も知らないほど長くなっていた。

絵がとても上手なお子さんで、似顔絵を(綺麗方向に盛って)描いていただいた。

ハイビスカスが3つ咲き、睡蓮も3つ咲き、はなやかな日だった。

7/30

(想像の中の)マラケシュの市場に3人で行っていたのに、わたしだけはぐれてしまい、絶望する。

携帯電話も充電ぎれ。

市場はとても広く、まゆこさんがいきいきと歩いていた。

わたしは紙を丸めたものを買おうとお会計(広大な市場の中で一箇所だ)を探しているうちに迷ってしまった。

こんな夢を見るなんて今日も暑かったのだろう。

『ハリーポッター 魔法の呪文集』ラフ。

銀座にて打ち合わせ。

7/31

仕事が本当にまずい。遅れている。

夜、津田淳子さんの社長就任お祝いで、うに部。

西塚涼子さん手書きの垂れ幕入りのくす玉を割った。

依提亜さんもつらそうだ。仲間。

今年はお盆が長いせいでつらいのではないかと話す。

最近の名久井さん

新幹線によく乗っています。

(これも新幹線の中で書きました)

著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。