コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第53回

4月の日記(前半)

2025年7月15日掲載

4/1

朝から谷川俊太郎さん宅で撮影。

前に来た時は谷川さんがお茶を淹れてくださったのを思い出す。

Bluesheepさんで作る本に使う写真だけれど、使う予定がないものも、今、撮っておいた方がいいよね、というような撮影。

草刈大介さん、永岡綾さんと。撮影は前康輔さん。

前さんが撮りたいものをじゃましないようにしつつ、谷川俊太郎事務所・川口恵子さんにいろいろ貴重なものを見せていただいた。

夕方から福音館書店・北森さんと打ち合わせ。

そのあとはナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

4/2

青葉市子さん『星沙たち』入稿。

朝日新聞出版・木造さんと打ち合わせ。

4/3

ジムへ。あろうことか、一時間間違えて行ってしまい、カフェご飯などして時間潰し。

大竹昭子さん『間取りと妄想』文庫ラフ。

出版社が変わっての文庫化だけれど、単行本を踏襲していただいてうれしい。

これは、単行本を作るときに、図面風イラストを青焼きに一度焼いて、それを原稿として使用。

その時も都内で残る数少ない青焼きのできるところ、みたいな感じだった。

今はもうできるところがないのではないか。

大学の製図の時間に、シャープペンシルで必死に書いた図面を、校内の生協のようなところへ持って行って、青焼きにして提出したことを思い出す。

4/4

「デザインのひきだし」の連載、「本づくりの匠たち」取材。

薄紙を印刷・製本できる工場へ。

細かくは連載を読んでもらいたいけれど、いつかやってみたい…と思うようなことがいろいろあった。

4/5

チュンコ先生と筍掘りへ。

20何本か採れて、前回よりはだいぶよかった。

本数が少ないので、またチュンコ宅であくぬきをまとめてしてもらった。

4/6

なにもしていない日。

4/7

チュンコ先生が「今日からわたしはホイップクリーム刑事(デカ)になる」と夢で言ってきた。

4/8

午後から松岡茉優さんの撮影。

ファンクラブ(もう発足している)用の写真を撮った。

『ほんまつ』撮影チームが再び集まったような撮影で、茉優さんは夢のようにかわいく、がんばっていて、『ほんまつ』の編集さんにも早く見せたいなと思った。

(よかったらご覧ください。サービス盛りだくさんのファンクラブです)

4/9

ジムへ行き、夕方から美容院。

最近、ChatGPTで猫を人間に、あるいは人間を猫にするというようなことが流行っていて、美容師さんをその場で猫にしてみた。

穂村弘さんは猫にしても眼鏡をかけていた。

4/10

大阪へ。明日から淀屋橋の竹尾で水戸部功さんとの展示「BOOKS」が開催されるので設営に。

新大阪の駅で水戸部さんと待ち合わせ。

着くなりさくさくとうどん屋さんを検索してくれて、うどんを堪能し、会場へ。

カッティングシートを貼ってくれていた業者さんと少し話したら、万博の特需のようで、過半数のパビリオンに関わっているとのこと。

途中、会いにきてくださった、元竹尾の社員のYさんも、今の会社で万博にスペースを出しているとのことで、大阪にくるとやはり万博の気配が濃いなと思った。

無事設営を終え、竹尾さんたちと同じビルの中でご飯。お好み焼きが美味しい。

食べ終えてからまた会場に戻ると、ほの暗い中に水戸部さんや自分の本が並んでいて、閉店後のデパートにいるような、不思議な感覚。

4/11

今日は水戸部さんと在廊。

淀屋橋の竹尾は、紙を買いにくる方が本当に多く、海外からのお客さんの姿も。

わたしも日本に旅行に来たら、竹尾に行くと思う。

展示に来てくださったお客様と話したりしていると、福岡もそうだったけれど、大阪もフレンドリーだなあ!と感じる。

閉店後、水戸部さんとたこ焼き(わたしのリクエスト)を食べ帰京。

4/12

初谷むいさん歌集の本文作業。

マーム&ジプシーの字幕作業。

車を停めようとしたけれど、路上でうまくみつからず、船舶関係のビルの地下駐車場へ。

皆が入れるロビーにとても大きな模型があったり、とても大きな鎖があったり、見応えがあった。

夜、仕事に行き詰まるとネットショッピングに彷徨してしまったりするが、一年に一度くらいやってくる「ボンタンジャージのズボン」がすごくいいのではないか期がやってきて、検索をし、いつもたどり着く店へたどり着き、じっと考えて結局またやめた。

ボンタンジャージはワタリ55cm、ワタリ60cmなど、5cmきざみでサイズが書いてあり、きっとそれは最大幅なのではないかと思う。

こだわりポイントなのだろう。

4/13

ダヴィンチwebに載る、瀬尾まいこさんとの対談収録。

はじめましての瀬尾さん、イメージ通り!

4/14

夕方MOEで打ち合わせの後、白泉社さんたちとご飯。

4/15

松岡茉優さんの写真セレクト、とある美術館の絵本の作業。

福音館書店・日出間さんと自分の絵本(写真絵本の第三弾)の打ち合わせ。

夕方、ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

そのまま村井さんを連れてTHINK OF THINGSでやっている大嶺かすみさんの展示を堪能。

抽選に参加。マーニーを迎えられる日はくるのだろうか…。

最近の名久井さん

駐車場で熱くなった車に戻るとジュッとする、そこだけはうれしい季節になりました。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。