コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第60回

7月の日記(後半)

2025年10月31日掲載

7/16

お昼、鎌倉へ行き、五十嵐大介さん、水鈴社・篠原さんと夏川草介さんの『スピノザの診察室』の続編『エピクロスの処方箋』打ち合わせ。

鎌倉を味わう暇もなく戻る。

夜、永井玲衣さん『さみしくてごめん』刊行記念のトークを聞きに代官山蔦屋へ。

お相手は穂村弘さん。

昨年のお誕生日にあげたピンクのシャツがとても似合っていてうれしかった。

7/17

ジムへ行く。

夜、録画していたNHK短歌の左右社・筒井さんゲスト回を見た。

ろくろを回す筒井さんの画面写真を撮って筒井さんに送った。

(よい感想とともに)

7/18

毎年恒例MOEの付録ムーミンダイアリーの表紙ラフ。

7月だがもう来年。

十文字青さん『さよならは言わない』の件で、新里製本所さんがすばやく動いていてもうすばやすぎて見えないくらいだ。ありがたい。

午後、福音館書店・林邉さんと打ち合わせ。

夜チュンコ先生とご飯。

帰り道、銀座のGUCCI並木店を通りかかり、ウインドウの中のヒグチユウコさん作のボウちゃんとボリスを眺めた。

目に銀座の街が映っていた。

ちなみに2匹は私と同じくらいの背丈があり、頭部にはみっしりとヒグチさんによるペイントが施されたすごいものなのです。

7/19

睡蓮の花が3つ咲いており、しかも黄色、うすピンク、濃いピンク、と3種類の色だった!

ひとつの株のはずなのに、すごい。写真に撮って水鈴社・篠原さんに送った。

睡蓮は篠原さんちから株分けされたものなのだ。

7/20

午前中、参議院議員選挙の投票へ。

午後、穂村さん夫妻とスズキタカユキさんの展示会へ。

スーさんはいつもスーさんだ。安心する。

GUCCI青山店の前を通りかかり、またボウちゃんとボリスに会った。

営業中だったので、後ろ頭も見られた。2匹が見ている風景を見た。

夫妻と別れ、ふらふらしていたら、LOEWEのウインドウが気になり入店。

大きな苔玉に見えるものがぶら下がっており(直径1mくらい)、中に穴が空いていて、覗いてみるとメダカが泳いでいた。

じっと見つめていると小さな森の中に入ったみたいで、すばらしいディスプレイだなあと思う。

(毎日の水やりが大変だと店員さんは言っていた)

とてもよい気持ちになり、とてもかわいいキーホルダーを買うことにし、包みはいらないからと下げていた布のトートバッグにつけたら、「ハクがつきましたね!」と余計なことを店員さんに言われ、「むしろバッグの方がかわいいんだよ!」と言い返してやろうかと思ったが大人気ないので憮然として店をでた。

夜、NHKエデュケーショナル・倉森さんとご飯。

7/21

margoのお二人に誘われ、小暮徹さん、こぐれひでこさん夫妻のお宅へ。

素敵な場所にあるお家からは海が見えて、今日は、夏休みだ!と思う。

ひでこさんのお料理にお誕生日ボーイの小暮さんの焼くピザたち。

margoさんが持ってきた美味しい(に決まっている)ワイン。

小暮さん夫妻がパリにいたころに買ったという、酒瓶の中で踊り子が踊るオルゴールを聴いていたら夜になった。

終電ぎりぎりで帰宅。

7/22

キューライスさん絵本『ポンコルポン』ラフ。

早見和真さん『さらば!店長がバカすぎて』本文作業。

もうさらばなのか…。

福音館書店・北森さんと金井真紀さんと打ち合わせ。

ナナロク社・村井さんと打ち合わせ。

7/23

小学館にて徳山さんと打ち合わせ。

筑摩書房・吉沢さんと打ち合わせ。

夜、小学館・今本さんとチュンコ先生とご飯。

7/24

ジムへ行く。

夕方、某社を退社されるNさんのご苦労さま会へ。

すみずみまで愛情の行き届いた会で、心から寂しく。

7/25

MOEのチョコレートにまつわる連載ラフ。

堀本裕樹さん、桃山鈴子さん『六四五七五』色校戻し。

キューライスさん入稿。

朝、ジェーン・スーさん、光文社・須田さんとzoom打ち合わせ。

夜、大どろぼう展打ち上げ。また遅刻!

個性豊かなどろぼうたちの会といった感じで楽しかった。

帰り道、慣れない靴で靴擦れになり、傷パワーパッドを買って貼った。

ちょっと生き返って無事帰宅。

7/26

友人と新国立劇場オペラハウスにてアレクサンダー・エクマン「PLAY」鑑賞。

会場でばったり、minä perhonenの田中さんとわぽんに遭遇。

舞台はあまりによくて、自分の心の中を形にされているような気配だった。

友人が隣にいたのも、とてもよかったような気がする。

終盤の盛り上がりタイムは、周りの客席との一体感もあり、素晴らしい終わり。

死ぬ前に神様が走馬灯上映してくれるなら、この舞台を流してほしい。

帰りにふたりでうどんを食べて帰った。

7/27

パレットクラブにて先生。

いわて銀河プラザに寄って帰る。

7/28

大どろぼう展巡回先のチケット作業。

彬子女王殿下のエッセイ本ラフ。

たくさんのふしぎ「生き物と熱」ラフ。

7/29

「ちくま」ラフ。

中前結花さん『ミシンは触らないの』ラフ。

小学館にて、藤本さん、尾関さんと打ち合わせ。

すごい発明をした!ような気がする。

7/30

ガリガリくんの袋の一回りちいさいようなものに、角こんにゃくのような形のフルーツゼリーがはいっていて

外には濃縮還元100%と書いてある。

何種類も持っており(とても重い)、選んでひとつ齧りながらあるく。

約束に遅れそうで、「ゼリーを食べていて遅くなります」とメールする。

という夢を見た。

友人たちと素晴らしい先生の楽しい講習会を受けた。

丸田洋渡さん『これからの友情』本文作業。

7/31

とても素敵な人が現れて、その人が持っているノートがとても素敵だった。

海外のものなのか、グレーの表紙に赤いフチがついて、表に書いてある言語がわからなかった。

使いかけのそのノートを捲らせてもらうと、うっとりするような紙で、「どこで買えますか?」と聞くと、「勤めている大学の購買で注文すると3ヶ月後に届きます」とのこと。

お願いしてみた。3ヶ月後、夢にまた現れてくれるだろうか。

最近の名久井さん

薄いコート、着そびれそうでこわいです。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。