コアラ日記

もくじ
この連載について

ごあいさつ

はじめまして。
わたしはふだん本のデザインの仕事をしています。
日記を書いてみたらとすすめられたので、書いてみますが、
たぶんあまり得ることのない日記です。
コアラの絵はヒグチユウコさんが描いてくれたわたしです。
なので、コアラ日記というタイトルにしました。
どうぞよろしくお願いいたします。

第67回

11月の日記(前半)

2026年2月15日掲載

11/1

くどうれいんさんと高知で落ち合った。

前にお会いしたときに「今度柴田さんに会いに高知行くよ」と言っていたので、わたしも急に来てしまったのだった。

待ち合わせより少し早くついたので、市場などふらふら。

はじめてみるソフ看板があり、大興奮。溶けて落ちそうなソフ。

わざとそう作ったのか、経年でそうなってしまったのかは謎。

れいんさんとわたしの連名のお花を(れいんさんが)用意してくれた。

大きなお花を持ってやってくる、にこにこのれいんさん。

柴田ケイコさんの個展をれいんさんと一緒に見て、そのあと柴田さんたちと共に美味しいご飯をいただいた。

パンどろぼうの「まずい」の方の顔でサインも頂いた。

鰹もさいこうだった。人見知りのいない丸顔たちの会だった。

11/2

朝の便で帰京。空港の待ち時間に最後の悪あがき?で鰹を食べた。

午後、浅草へ行き、ヨシカミでご飯を食べて、

東條會館写真研究所で開催中の井上佐由紀さんの展覧会「はじまりと終わりに見る色を、私は知らない」へ。

素敵な趣向の凝らされた写真展。

人は死ぬ前に赤い光を見るらしいというようなことが書いてあり(言葉曖昧)、会場をでて降りるエレベータは暗室を模されており、赤い空間。

でてすぐに「見えた?」という文字があったので、ヒッッッ!となったことを入り口にいた井上さんに伝えたら、「?」の顔。

前の展示の文字が残っていただけだったらしい。うまくできすぎだった!

金原瑞人さん『英米文学のわからない言葉』ラフ。

11/3

I’m donut? を並んで初めて買ってみた。

夜、津田さんとご飯を食べ、

井川直子『小さな店をつくりたい』ラフ、

『大長編ドラえもん のび太の海底鬼岩城 豪華限定愛蔵版』ラフ。

11/4

江國香織さんの本、絵を選ぶための暫定ラフ。最果さんの本、本文いろいろ作業。今日は色校が多く、ユリイカ大貫妙子特集、『サンクトペテルブルクの鍋』、『帰りに牛乳買ってきて』、ちくま、コウペン、『わたしはシュシュ~』の色校をみた。

表参道にて萩岩睦美先生の個展を見て、三宅瑠人さんのユトレヒトの個展へ。

スペインにいっているKちゃんからいい写真が届く。

ちょっとホームシックだったの、と。

ホームシックになったことがなくて、どんな感じなのかなと思う。

ホームを早く出たいシックは昔ずっと罹患していた。

どいつもこいつもという単語について考えていた。

(考えるきっかけがあった)

あいつもこいつも、じゃなくて「どいつ」がくるのが面白い。

11/5

ヒグチユウコさん『すきになったら』の10周年いろいろのラフを出し、『大工日記』ラフを出し、朝の飛行機でロンドンへ。飛行機の中では『夏の砂の上で』(髙石あかりさんが素晴らしかった!)と『コンクラーベ』を観た。今年あったばかりなので、ノンフィクションのようにも思えた。

ハリー・ポッターの「名前を呼んではいけないあの人」であるレイフ・ファインズが出ているので、何か起こりそうなへんなハラハラもしつつ、とてもいい映画だった。

夕方到着して、ホテルにチェックイン。

夜は福音館書店・北森さんと合流、友人がおすすめしてくれたplombeにてご飯をご一緒した。

ロンドンはクレジットカードのピ!で地下鉄もバスも乗れるので便利。

ホテルの部屋が地下で、とてもうるさく、窓もなく真っ暗で、ああ、地下というのは働いている人の場所で…とダウントン・アビーを思ったのだが、眠れなくてつらい!と思い、明日ぜったい朝に部屋を変えてもらおうと決心。

11/6

ヒグチさんMOE連載「日々の綿」ラフなどを早朝にやり、スーツケースに荷物をまとめてロビーへ。あらかじめ覚えておいた「イギリス英語」での苦情を述べ、部屋を変えてもらうことに成功。

なんとなくこういう時に、アメリカ英語ではない方が、伝わるような気がして…(正解はわからない)。

北森さんとPhaidonへ。そもそもPhaidonさんで勉強させていただくために来た旅なのだった。

早い夜ご飯を、これまた友人おすすめのbratで。最高に美味しかったしよいレストランだった。

夜にふらっと入ったスーパーで、芽キャベツが親茎(とでもいうのだろうか)にびっしりくっついているものが売っていて、こうなっているものだとは知らなかったのでとても驚いた。

11/7

今日は予定がないので美術館巡り。道に落ちているバナナの皮をはじめてみた。滑ってみたかったが、旅の途中だし写真を撮るにとどめた。

まずはV&Aに行き、お散歩のように楽しみ、SERPENTINEギャラリーのPETER DOIG、Royal AcademyのKerry James Marshal、さらにTate Britainでオフィーリアを見たり、リー・ミラーの特別展を見たり。リー・ミラーについては、マン・レイの作品にでてくる美しい人といった知識しかなかったので、後年の活動に感動。日本にも巡回してほしいな。

11/8

北森さんと朝待ち合わせ、V&A Storehouseへ。ここもとても来たかった場所。

期待以上に素晴らしかった。収蔵と展示を兼ねた空間。お昼はおすすめのインドカレー。

続いて Young V&Aへ。子ども向けの場所と侮ってはいけない、とても楽しめる展示。

来年本をご一緒する、ロンドン在住の絵本作家のせきなつこさん、Phaidonのマヤさんたちも合流。

夜、これぞロンドンのパブというようなところに連れて行っていただいて、はじめてやるタイプの赤と黄色のピンボールを教えてもらった。

11/9

『僕には鳥の言葉がわかる』帯ラフ。まだ言えない本の本文、androp内澤崇仁さんの本など作業したり、『英米文学のわからない言葉』の入稿作業をまた早朝やって、北森さんと本屋めぐりへ。

昼はこれまた人のおすすめのHIDEというカフェへ。クロックムッシュが美味。

持ちきれないくらい本を購入。

11/10

斉藤倫さん『私立探検家学園7』ラフなどをやって、Tate Modernへ。

ダリのえび電話やモランディ作品や、覚えきれないほどたくさん見て、ふらふらと本屋まで堪能。スーパーでGinger Shot(好物)を買いだめしてホテルでパッキング。

地下鉄にエレベーターもエスカレーターもなくて、重いスーツケースごと階段から落ちるかと思ったりしつつも、夕方の便で無事に帰国。

11/11

夕方羽田に到着、夜のうちに入稿しなくてはならないPenの原稿をひたすら書く。

11/12

三浦英之さん『日本で一番美しい県は岩手県である』ラフ、最果タヒさん『ときには恋の招待状』など細々作業。

ひさしぶりにジムへ。

夕方、左右社へ行き色校を見たり。

届いた本の見本に入っていた編集さんからのハガキが下田昌克さんのもので、なんだか嬉しかった。

占いの類はほとんど縁のない人生だけれど、わたしはこっそり届いた荷物で「編集さんの性格判断」をしている。

意外と当たる気がしています(これを読んだ編集さんは送りにくくなってしまうかもしれませんが)。

11/13

宮崎哲弥さん『『100万回生きたねこ』のナゾを解く』本文作業。

午後、バスキュールにて何かの打ち合わせ。皆が皆おやつを持ち寄ったのでおやつパーティになった。

昨日から高島屋のクリスマスの袋がヒグチユウコさんのものなので、さっと寄ってなんとかゲット。あのバラの中にボリスが…!

夜、ジロチョーさん、水戸部功さんと食事。

昼間、越前から蟹が届いたのでお持ちしてみんなで食べた。

11/14

午後、グレイパーカーさんにて何かの打ち合わせ。

夕方、junaidaさんと打ち合わせ。

11/15

土曜日なのだが、早川書房・窪木さんと打ち合わせ。

進みに迷っていることも、窪木さんと話すと、ああ、できそう、と思えるので会うのが大事。

最近の名久井さん

3月初旬と半ばに仕事の大きな山が見えているのにまだ登山口に立っていなくてこわいです。

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著者プロフィール
名久井直子

ブックデザイナー。1976年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、広告代理店勤務を経て、2005年独立。ブックデザインを中心に紙まわりの仕事を手がける。第45回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。2022年BEST BOOK DESIGN FROM ALL OVER THE WORLDにてBronze Medal受賞。